ニュースイッチ

双日・三菱商事・三井物産…大手商社、ガバナンス改革広がる理由

双日・三菱商事・三井物産…大手商社、ガバナンス改革広がる理由

※イメージ

脱炭素・デジタル化 急速な事業環境の変化に対応

大手商社で取締役会による経営監督の強化に向けて組織体制を見直す動きが広がっている。双日三菱商事は監査等委員会設置会社に移行し、重要な業務執行の決定権の一部を取締役会から取締役に委任する。意思決定の迅速化と取締役会での戦略審議の充実化などにつなげる。三井物産は取締役会の機能を経営監督へと重点化し、取締役を2割減員する。脱炭素やデジタル化など急速に変化する事業環境に対応するため、各社は経営の高度化を推進する。(編集委員・田中明夫)

※自社作成

監査等委員会設置会社では監査役を置かず、一部の取締役が監査等委員会で適法性の監査を担うほか、他の取締役とともに取締役会で経営の妥当性の監督も行う。取締役会は広範な業務決定を取締役に委任することが可能で、経営監督と業務執行の分離を進めやすくなる。

監査等委員会設置会社は2015年施行の改正会社法で導入された制度で、大手商社での採用は双日と三菱商事が初めて。6月開催予定の株主総会の承認を経て移行する。

双日は取締役会から取締役への権限委譲を進めて意思決定の迅速化を図る。ガバナンスでは「監査等委員を取締役会の構成員とすることにより取締役会の監督機能を強化する」ことを狙う。

三菱商事は機動的な業務遂行を推進するとともに、取締役会における経営方針と経営戦略の検討の充実化を推進する。さらに取締役候補者などを審議する指名委員会とガバナンスの委員会を統合し一体で討議するなど、加速する外部環境の変化への対応を強化する。

三井物産は監査役会設置会社の体制を維持する一方、取締役会は経営監督に重点を置くことに伴い6月の株主総会の承認を経て取締役を3人減の12人にする。業務執行では社長や専務・常務執行役員らで構成する「経営会議」のメンバーに法的視点で提案を行う役職「ジェネラル・カウンセル」を4月に設置し、複雑化する事業環境に対応する。

地政学リスクの高まりを含む急速な経済環境の変化は実際に経営計画に影響を及ぼしている。3月に3カ年の中期経営計画が終了した伊藤忠商事は、株主還元策を含む長期経営方針を示しつつ、2025年3月期以降は単年度の経営計画に切り替えた。経済情勢が期初の前提から大きく乖離することも想定される中、「単年度の計画を公表することがより正確な経営の方向性の開示につながると判断した」(石井敬太社長)。

総合商社では、資源高を追い風に過去最高益が相次いだ23年3月期の勢いは落ち着き、24年3月期は減益予想が大半を占める。変革期にある経済環境下でも持続的な成長を推進すべく、形式変更にとどまらないガバナンスと経営の高度化が求められている。

日刊工業新聞 2024年04月16日

編集部のおすすめ