丸紅が個人向けスマホリユース事業に参入する狙い
需要増対応・新興国も開拓
丸紅は中古スマートフォンの買い取り・販売大手イオシスホールディングス(HD、大阪市中央区)に40%出資し、スマホの個人向けリユース事業に参入する。国内店舗の拡大を図るとともに、丸紅の法人向けスマホリユース事業と連携して日本の中古品の人気が高い新興国への販売につなげる。新型スマホが高機能化などに伴い値上がりする中、割安な中古品の需要増加に対応するほか、スマホに含まれるレアメタル(希少金属)の有効利用を促進する。
丸紅はこのほどイオシスHDに出資した。出資額は明らかにしていない。同社子会社で中古スマホなどIT機器売買を展開するイオシス(大阪市中央区)と検品・データ消去を手がけるアレスタ(東京都中央区)の事業拡大を目指す。イオシスは電子商取引(EC)に加え、東京都や大阪府などで合計11店舗を展開しており、都市部での新規出店や地方での期間限定の店舗開設を通じ消費者との接点を広げて中古品の需要を取り込む。
足元ではスマホの高機能化や部材不足の影響で新機種が1台当たり15万円前後まで上昇する一方、中古品市場では同じシリーズで2年前の機種が7―8万円程度で購入可能という。MM総研(東京都港区)によると、2022年度の中古スマホ販売台数は前年度比10・4%増の234万台と4年連続で過去最高を更新するなど需要が高まっている。
また丸紅は子会社のモバイルケアテクノロジーズ(横浜市都筑区)を通じスマホの法人向けリユース事業を展開している。日本の高品位の中古品が人気の中東や香港などで法人向けに販売するルートを持っており、イオシスの余剰品を海外に展開して流通を促進する。
スマホにはインジウムなどのレアメタルのほか金や銀といった貴金属も使われており、リユースは環境負荷の低減に寄与する。丸紅は中期経営計画で脱炭素や循環型社会の形成を後押しする「グリーン戦略」を掲げており、中古スマホの取り扱いを拡大して持続可能なサプライチェーン(供給網)の構築を推進する。
大手商社では伊藤忠商事も中古スマホなどのオンライン流通事業を展開する。多様化する消費者ニーズや環境対応を強化する動きが広がっている。