ミネラルキャスティング材量産、マンホール用鋳鉄製蓋メーカーが半導体・工作機械狙う
日之出水道機器(福岡市博多区、浅井武社長)は、マンホール用の鋳鉄製蓋(ふた)などのメーカー。現在、ミネラルキャスティング材の普及に力を入れる。樹脂を使ったポリマーコンクリートの一種で国内で製造販売するのは珍しいという。同社は土木分野を中心とした研究をベースに製品化した。量産ラインを栃木工場(栃木県大田原市)に構築。4月から半導体製造装置や工作機械向けに量産を始める。
ミネラルキャスティング材は鋳鉄の代替材料となる。工作機械や半導体製造装置の土台に使うと、振動の減衰性が高く、熱や電気の影響を受けにくい。機械の高速化や高精度化を実現する。形を作る際は鋳造より低い温度で充填できる。そのため金属の部品や配管などを組み込んでも傷めない。
工作機械メーカーは従来、鋳鉄製の土台を前提とした制御技術で高精度を実現してきた。そのためミネラルキャスティング材の必要性が高まらなかったとみられる。
だが近年、半導体製造装置や工作機械の稼働の高速化や、加工精度へのニーズなどから、振動減衰のための工夫が求められているという。
2050年のカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)実現に向けた流れも追い風となる。ミネラルキャスティングは鋳物に比べて製造時の二酸化炭素(CO2)排出が少ないためだ。
日之出水道機器は1970年代からポリマーコンクリートを研究する。また、ドイツのRAMPF Group(ランプグループ)の日本法人や、工作機械の加工を研究する東京大学大学院の杉田直彦教授と共同開発を進める。
日之出水道機器はミネラルキャスティング材を含む新産業分野への今後の投資に総額100億円を計画する。森山祐樹執行役員は「国産材にこだわった、さまざまな骨材と樹脂の最密充填の手順や材料の選定、配合方法など技術のトライアンドエラーを続けてきた」と商品に自信を見せる。(西部・勝谷聡)
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