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溶解炉にバイオ燃料、栗本鉄工所がCO2排出半減へ

溶解炉にバイオ燃料、栗本鉄工所がCO2排出半減へ

加賀屋工場で稼働するキュポラ

栗本鉄工所は脱炭素化に向け、水道管に使われるダクタイル鋳鉄管の製造で、植物由来のバイオコークスを採用する。2024年度から加賀屋工場(大阪市住之江区)で石炭由来コークスの一部を転換。堺工場(堺市西区)でもバイオコークスの試験採用を始めた。同社では全社の二酸化炭素(CO2)排出量のうちコークス由来が6割以上を占める。CO2排出量を30年度に13年度比で50%削減する目標を掲げており、バイオコークスへの転換などで目標達成を目指す。

栗本鉄工所の全社のCO2排出量は22年度で約4万トン。このうち加賀屋、堺の2工場が排出するコークス由来のCO2量は約2万5000トンある。バイオコークスはそば殻が原料で、現時点で発熱量はコークスの6割程度であるため、化石燃料の最大20%をバイオコークスに代替できると試算する。化石燃料を仮に20%削減できた場合、約5000トンのCO2削減効果があるという。

すでに堺工場では化石燃料の15%をバイオコークスに転換。加賀屋工場でも段階的に転換を進める。「2工場での燃料転換の取り組みや、他の省エネ活動も含めて目標を達成できる見込み」(同社)という。

ダクタイル鋳鉄管の素材である溶湯は、鉄スクラップをコークスで溶かすキュポラ(溶解炉)で製造する。大量のCO2を排出するため、電気炉への移行が進む。ただ同社は一斉に移行することへの電力市場への影響や、使用する鉄スクラップに制約がかかることなどを考慮し、まずはバイオ由来の燃料転換を進める。また自動車メーカーなどと共同でバイオコークスを含むキュポラの新燃料開発にも取り組んでおり、50年度に向けてキュポラでの化石燃料の使用を限りなくゼロにすることを目指す。

同社は22年度に本社など関西エリアの事業所、工場を中心に再生可能エネルギー由来のCO2フリー電力を導入し、CO2排出量を13年度比で45%削減した。残り5%の削減については、バイオコークスへの燃料転換などで実現する。

日刊工業新聞 2024年01月10日

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