FCドローン用バルブ開発、日進製作所が生かす独自技術
日進製作所(京都府京丹後市、平野卓社長)は、水素燃料電池(FC)飛行ロボット(ドローン)などへの採用を想定した水素対応タンクバルブと小型燃料電池を試作した。独自技術を用いたカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)への貢献を模索する中、ローカーアームというエンジン用部品で培った精密加工技術などを応用して開発した。2025年度にも市場投入する。
試作した水素対応タンクバルブは、高圧ガス保安法に基づく容器附属品検査に適合しており、実証試験を進めて24年度内の試作販売も想定する。
強みの精密加工技術と可変機構ノウハウを生かした独自設計で、部材にアルミニウムを活用することでステンレスなどを使う他社製従来品よりも軽量化を図った。最高充填圧力35メガパスカル(メガは100万)の高圧容器で、減圧弁付きや、水素供給量の切り替え機能を備えている点も他社製品と比べた差別化要因としている。
小型燃料電池もローカーアームなどの部品事業で培った技術を、セパレーター成形やダイヤモンドライクカーボン(DLC)耐食皮膜に応用していく方針。タンクバルブと燃料電池を両方手がければ、それぞれの課題へのアプローチが効率的に行えるとみる。
小型燃料電池の日本メーカーは少なく、日本製は注目されそうだ。ニーズに応じてドローン以外への提供も想定する。
日進製作所は自動車部品と工作機械を手がけており、小径分野のホーニング盤では国内最大手。
日刊工業新聞 2024年02月28日