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JR東日本が営業運転へ、「水素ハイブリッド電車」が追究すること

JR東日本が営業運転へ、「水素ハイブリッド電車」が追究すること

鶴見駅に入構してきた水素ハイブリッド電車「ヒバリ」。車両の上に水素タンク20本を搭載している

JR東日本は28日、鉄道の脱炭素化に向けて2022年3月から実証試験中の水素ハイブリッド電車の試験車両「HYBARI(ヒバリ)」の走行試験を報道陣に初めて公開した。水素と酸素を反応させて発電する燃料電池と蓄電池をハイブリッド制御して走行する。公開実験では鶴見線の鶴見―扇町間を走り、通常の電車と変わらない安定した走行性能を示した。

研究開発センターの藤井威人エネルギー・環境ユニットリーダーは「ハイブリッド制御、水素システムともに安定的に高い品質で走れると確認できた」と手応えを語った。

実証試験は24年度末に終了し、30年度の水素ハイブリッド電車の営業運転を目指して設計検討に入る。航続距離を延ばすため水素搭載量の増加や燃料電池の高出力化を検討し、車両形状も最適化する。水しか排出しないため、内燃機関搭載車を切り替えれば、走行時の二酸化炭素(CO2)排出量を削減できる。

ヒバリは架線から集電するパンタグラフがなく、車両上部に水素タンク、下部に燃料電池や電力変換装置などを搭載している。加速時は燃料電池で発電し、減速時はエネルギーを回生して蓄電する。それ以外は蓄電池の残量に応じて発電する。電力消費などの状況に応じて発電出力の大きさを変えて、水素消費量を少なく抑える制御方法を追求している。

試験を行う南武線は時速95キロメートルまで加速でき、鶴見線は駅間距離が短くハイブリッド性能を試せるという。

日刊工業新聞 2024年02月29日

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