ソフトバンク・九州電力・日東電工…日本60社・団体、炭素クレジット国際取引参加
ナチュラルキャピタルクレジットコンソーシアム(NCCC、馬奈木俊介理事長=九州大学教授)は、世界最大級の炭素クレジット取引所に取引口座を開設した。ソフトバンクや九州電力、日東電工などNCCC会員約60社・団体は、取引所を通じて炭素クレジットの国際市場に参加できる。日本の炭素クレジット市場の活性化にもつながり、海外資金を地方創生支援などに呼び込むことが可能になる。
NCCCが口座を開設したのは、シンガポールに拠点を置く国際取引所「AirCarbon Exchange(ACX)」。通常、ACXから炭素クレジットを購入する場合、厳格な審査を経てシンガポールに取引口座を開設する必要がある。一方、NCCC会員は厳格な審査手続きを省き、海外の炭素クレジットを購入できる。NCCCが発行したクレジットも売買でき、日本の農林水産業の支援などに海外資金を呼び込める。
NCCCにはソフトバンクなどのほか、損害保険ジャパンや西部ガス、双日、インフロニア・ホールディングスが加盟。また日創プロニティや辻田建機(大分県宇佐市)も加わり、民間主導のボランタリークレジット(自主的クレジット)の普及を目指している。農地や森林、海の生態系回復による二酸化炭素(CO2)吸収量を炭素クレジットにして、売却して得た資金で地方創生を支援するのも活動の狙いの一つだ。
ACXは33カ国の190団体と連携する炭素クレジット取引所。「Verra」や「ゴールドスタンダード」といった国際的な団体によって認証された自主的クレジットを扱っている。オンライン上でクレジットを選択して購入し、決済ができるなど利便性が高い。
炭素クレジットを購入した企業は、自社のCO2排出量削減実績に加えられるため、取引の拡大が予想される。日本では政府が管理する「J―クレジット」が寡占している状態だが、海外では自主的クレジットが拡大している。世界銀行によると、2022年の全世界の炭素クレジット発行量はCO2換算で4億7500万トン。そのうち、58%が自主的クレジットだった。