世界最高の電力変換効率と応答速度、信州大が5.8ギガヘルツ帯の無線受電回路
信州大学の市川響平大学院生、宮地幸祐准教授と金沢工業大学の伊東健治教授らは、世界最高の電力変換効率と最短の応答速度のマイクロ波無線受電回路を開発した。受電回路の変換効率は64・4%。マイクロ波を受けてから45・2マイクロ秒(マイクロは100万分の1)で高効率変換が可能になる。マイクロ波ビームが変動しても対応できる。工場でのカメラやセンサーへの無線給電に提案していく。
5・8ギガヘルツ(ギガは10億)帯のマイクロ波ビームをアンテナで受けて電力に変換する。まずマイクロ波整流器で直流電流に変換し、DC―DCコンバーターで電圧を調整する。マイクロ波が当たっている間は電池に充電し、マイクロ波が外れると電池から給電してDC―DCコンバーターの機能を維持する。
この際にDC―DCコンバーターに入力される電圧を整流器の開放端電圧の半分になるように調整して電力変換効率を最大化する。開放端電圧を求めることが難しかったが、整流器を壊すことなく高速で算出する回路を開発した。試作すると変換効率と応答速度の世界記録を更新できた。無線給電で電池交換や配線などの煩わしさが解消される。
日刊工業新聞 2024年02月22日