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廃棄混合プラスチックで基礎化学品製造、経産省が再資源化技術の開発支援

経済産業省は廃棄される混合プラスチックから基礎化学品を製造する技術開発支援に乗り出す。脱炭素技術の開発を後押しする「グリーンイノベーション(GI)基金」を活用し、製造技術を開発する企業などを支援する。混合プラスチックの多くがサーマルリサイクルや単純焼却により処理されている。再資源化を加速し、二酸化炭素(CO2)排出量の削減につなげる。

プラスチック廃棄物の処理状況(2021年)

GI基金事業の対象に追加する。今後開かれる有識者会議で技術開発への支援額などを示し、早ければ2024年春にも公募を始める。30年代の実用化を目指す。

複数の原料で構成する混合プラスチックからオレフィンなどの基礎化学品をつくる技術開発を支援する。すでに熱分解で油化するケミカルリサイクル技術が一部商用化されているが、エネルギー消費量の大きさが課題になっている。今回のGI基金事業ではマイクロ波の活用など、よりエネルギー効率の高い製造技術の開発を支援する方針。

化学産業は産業部門で鉄鋼に次いでCO2を多く排出する。国内におけるプラスチック廃棄物は年間約820万トンで、分別が難しい混合プラスチックなど廃プラスチックの多くがサーマルリサイクルを含め燃焼処理されている。

脱炭素社会の実現に向けては混合プラスチックから直接、基礎化学品を製造する技術の実用化が急務になっており、オランダ、ドイツ、米国など海外勢も技術開発を強化している。日本も開発支援を通じ、プラスチックの資源循環を加速させたい考え。

日刊工業新聞 2023年1月9日

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