パワー半導体試験の受託拡大、クオルテックが新拠点
電動化追い風・集約で効率化
クオルテックは早ければ2024年度にも堺市周辺で、パワー半導体の信頼性評価を受託する新拠点「パワーエレクトロニクスセンター(仮称)」を建設する。周辺環境への配慮を重視して立地計画を詰めており、現段階での投資額は5億円超を想定する。自動車の電動化を追い風に、完成車や部品各社からの受託拡大が見込まれることから、拠点集約で効率化を図るとともに、能力を現在比1・5倍に拡充して体制を整える。
現在、パワー半導体モジュールの接合信頼性を調べて耐久性を評価する「パワーサイクル試験」は、堺市内の3カ所と愛知県豊明市で対応している。このうち堺で運用する3カ所、計54あるテストベンチを新拠点に移し、新たな設備の導入も進めて80まで増やす。
クオルテックはパワー半導体に関する各種試験サービスで、独立系の試験評価企業としては国内最大級の評価体制を誇る。主要顧客は完成車および車載部品メーカーで、全社売り上げの約2割をデンソー向けが占める。
パワーサイクル試験の売上高は24年6月期に約5億円の計画で、27年6月期に8億円まで高める目標を設定している。
また自動車市場において、パワー半導体を切り口に、電動車に特有の部品に対する環境試験など他の信頼性評価サービスの受託へとつなげ、売り上げの拡大を狙う。
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日刊工業新聞 2024年02月19日