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引張強度1200メガパスカル、東レがステンレス鋼並み高強度の樹脂フィルム開発

引張強度1200メガパスカル、東レがステンレス鋼並み高強度の樹脂フィルム開発

開発した超高分子量ポリエチレンフィルム

東レは24日、引張強度が最大1200メガパスカル(メガは100万)とステンレス鋼並みの高強度を持つ樹脂フィルムを開発したと発表した。独自の押出・二軸延伸プロセスにより、超高分子量ポリエチレンの分子鎖を2次元方向に高度に配向させたナノ構造を実現することに成功した。フレキシブルデバイス向けの放熱材や、極低温環境下で用いる工業製品の絶縁材などでの展開を目指す。

高強度繊維などに使われる超高分子量ポリエチレンは、強度や弾性などで優れた特性を持つが成型加工性が低いとされ、従来は二軸延伸によるフィルム化が難しかった。開発した樹脂フィルムは面内方向の熱伝導性に優れ、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムと比較して面内熱伝導率が10倍以上になるという。

耐寒性に優れ超電導・宇宙環境などの極低温環境でも使用可能。有機フッ素化合物(PFAS)の一種であるフッ素樹脂の代替材料として、半導体製造工程で使われる耐薬品保護材への展開も視野に入れる。

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日刊工業新聞 2024年01月25日

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