強度10%向上、東レが開発した超高強度炭素繊維の優位性
東レは、超高強度炭素繊維「トレカT1200」を開発した。最新鋭の分析機器を活用し、ナノスケール(ナノは10億分の1)で繊維構造を制御する技術を発展させ、破壊が起こりにくい内部構造に改質した。
T1200の引っ張り強度は8ギガパスカル(ギガは10億)と、同社従来の最高強度品種「T1100」に対し10%以上の強度向上を実現した。部品の軽量化や自動車・航空機の燃費向上、環境負荷低減につながる。
3年以内を目標に、まずは愛媛工場(愛媛県松前町)での量産化を検討。今後はスポーツ用途をはじめ、将来は航空宇宙での採用も見据える。数百億円規模の販売を目指す。
超高強度分野の炭素繊維では10年ぶりの新商品。最先端の分析機器を用いて原子レベルでの観察に成功し、炭素構造の制御技術発展につなげた。従来のT1100でも競合製品はないが、さらに強度を向上させて優位性を高めた。
炭素繊維は国内外の企業が製造を開始したことで、従来強度の供給には厚みが出てきている。一方、高強度の炭素繊維への需要は高まり続けている。
日刊工業新聞 2023年10月31日