物流「2024年問題」も要因、新規事業所「計画ある」25%に増加
日本立地センターがまとめた2023年度の新規事業所立地計画に関する動向調査によると、立地計画(新設・増設・移転)について「計画がある」と回答した企業は前年度比1・1ポイント増の25・0%と3年連続で増加した。経済安全保障の重要性の高まりやドライバー不足が懸念される物流の「2024年問題」に直面し、国内での生産基盤の確保や拠点再編を検討する企業の動きが活発化していることが背景にある。
業種別では製造業が前年度比1・0ポイント増の23・1%、物流業は同2・1ポイント増の32・6%となった。製造業は過去30年間で最高水準、物流業は12年度の統計開始以降、過去最高となった。
立地候補地域は製造業では「東海」が20・6%、「南関東」が18・1%、「近畿臨海」が10・9%となり例年同様、三大都市圏が上位を占めた。物流業も「南関東」が27・0%、「東海」が19・1%、「北関東」が18・0%となり大都市圏と隣接地が上位だった。
半導体投資が活発な「北部九州」は製造業が3・6%であるのに対し、物流業は14・6%と物流業の方が立地意欲が高かった。日本立地センターは「24年問題への対応を含め、現地での物流の効率化や整備が急務になっている」と要因を分析する。
立地選定時に重視する要素については、製造業は「用地価格」が62・7%、「交通アクセス」が57・7%と前年度と同様に同2項目が上位を占めた。物流業も「用地価格」が70・6%、「交通アクセス」が70・3%と続いた。
自治体への要望では、製造業は「優遇制度の充実」が57・4%、「人材確保・育成の支援」が51・4%とそれぞれ過半を占めた。物流業は「優遇制度の充実」が50・2%、「域内外の交通アクセスの向上」が49・1%となった。
日本立地センターは立地計画のある企業が増加した要因について「経済安保問題の顕在化や24年問題への対応など社会経済環境の変化がある」と指摘。日本の国際競争力の向上に向けては「地域経済の活性化やグローバルバリューチェーン(世界規模の価値連鎖)の確立が不可欠。国や自治体が中心となり、明確な産業振興策を構築する必要がある」とした。
同調査は全国の製造業と物流業2万社を対象に実施。1351社から回答を得た。