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“敵対関係”ヤマトと日本郵政が歴史的提携、物流2024年問題の影響度

“敵対関係”ヤマトと日本郵政が歴史的提携、物流2024年問題の影響度

ヤマト運輸の岩手ベースから日本郵便の岩手郵便局に「クロネコゆうパケット」を受け渡す

2023年6月、物流業界ではヤマトホールディングス(HD)と日本郵政が歴史的な提携を結んだ。両社の子会社のヤマト運輸と日本郵便は、佐川急便とともに宅配業界を3分するライバル。特にヤマトは郵便が国の事業だったころから規制緩和に向けて激しく争い、“敵対関係”といえるほどだった。

そんな両社が手を結んだ理由は、トラック運転手の時間外労働上限規制により日本全体で輸送力不足が懸念される「2024年問題」だ。日本郵便の千田哲也社長は「以前とは発想が変わった。役割分担をしなければ、24年問題は乗り越えられない」と話す。

具体的には、ヤマト運輸が引き受けたメール便や薄型荷物を郵便局に送り、日本郵便が郵便受けに投函して配達する。小回りのきくバイクを使った細かな配達網を持つ日本郵便がヤマトの荷物もまとめて投函し、物流全体の効率化につなげるという考えだ。他の分野でも協力を検討する。

24年問題を契機に、この1年で物流分野では同業や異業種間の協力の動きが相次いだ。デンソーやアスクルなど7社は7月、関東―関西間の長距離輸送をトラック3台のリレーで輸送する実証実験を行った。拘束時間が長い長距離輸送の負担を軽減する狙いだ。

複数社がトラックに荷物を相乗りさせる共同輸送も飲料や化学、医薬業界で広がる。菓子メーカー2社は、往路と復路で鉄道貨物コンテナの荷物を入れ替えて積載効率を高める取り組みを始めた。

ただ、輸送効率を高めると、一方に仕事が集中し、もう一方の仕事が減る。ヤマト運輸では、日本郵便との協業に伴い自社でのメール便や薄型荷物の配達業務がなくなり、雇い止め問題に発展した。

ある物流企業幹部は「ヤマトを辞めた人に来てほしい」と話す。日本の生産労働人口が減少する中、物流業界から人が減ってしまっては本末転倒だ。経営視点の効率化だけでなく、業界全体で人材維持に協力することも必要ではないだろうか。

日刊工業新聞 2023年12月5日

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