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超低遅延通信技術「APN」活用、NTTコムの新サービスでできること

超低遅延通信技術「APN」活用、NTTコムの新サービスでできること

NTTコムはIOWNの検証環境を整備した京阪奈データセンター(京都府精華町、イメージ)の運用を25年度下期に始める

NTTコミュニケーションズ(NTTコム)は2024年をめどにNTTグループの次世代通信基盤構想「IOWN(アイオン)」の関連サービスに乗り出す。IOWNの構成要素である超低遅延通信技術「APN」を用いた専用線サービスを提供する。県をまたぐ遠距離通信も可能になるとみられており、医師が遠隔地から患部の8K映像を見ながら手術支援ロボットを稼働させたり、各地のデータセンター(DC)をAPNで結び、あたかも一つの巨大なDCとして構築したりすることが可能になりそうだ。

APNはネットワークから端末まで、すべてにフォトニクス(光)ベースの技術を導入し、光で結ぶ通信技術。オールフォトニクス・ネットワークと呼ばれる。APNをめぐってはNTT東西が同一県内での通信に限り、23年3月に専用線サービス「APN IOWN1・0」を始めた。

一方、NTTコムは「(NTT東西のAPNサービスよりも)距離を長くする技術的な問題を解決できた」(丸岡亨社長)と明らかにしており、県をまたいだ県間通信が可能になるとみられる。同一県内の通信より遠距離の県間通信が可能となれば、APN利用企業・団体の拡充につながる。

APNはエレクトロニクス(電子)ベースの従来技術に比べて電力効率を100倍、伝送容量を125倍、遅延を200分の1にでき、圧倒的な低消費電力と高品質・大容量、低遅延の伝送を実現する見込み。すでにAPNを用いた実証を複数行っており、遠隔地の病院の手術室からAPN経由で送られてきた患部の8K映像を見ながら、医師が手術支援ロボットを操作するデモを行った。

DCに関しては、NTTコムが災害に強いDCサービス「ネクスセンター」を展開している。将来は首都圏や関西圏にある自社DC同士をAPNで結び、大型DCとして活用できる分散型DCの構築を目指す。これにより、電力調達先を分散でき、DC建設が可能な候補地を増やせる。

日刊工業新聞 2023年1月9日

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