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芝浦工大がシステム理工学部定員1.5倍に、施策は目玉てんこ盛り

芝浦工大がシステム理工学部定員1.5倍に、施策は目玉てんこ盛り

地域連携でも活用する新校舎(イメージ)

芝浦工業大学はシステム理工学部の入学定員を現在の約1・5倍となる705人に増やす構想を固めた。2026年度に情報、環境、健康科学分野を増強する。専門特化型の学科制から横断的な学びが可能な課程制に変えて5課程11コースとし、分野融合のスポーツ健康科学やデータサイエンス(DS)に乗り出す。新校舎建設を含む大宮キャンパス(さいたま市見沼区)再編の主軸に据え、社会ニーズ対応の人材育成で攻勢をかける。

システム工学は自然・社会事象の要素分析と、学問の組み合わせによる課題解決が求められている。そのため豊洲キャンパス(東京都江東区)の工学部で先行して計画している課程制の導入や卒業研究の3年次スタートに加え、より実践的な学びをする設計とした。

具体的には特定の職能スキルの確立に向けた科目群による「モジュール」制が特徴。同じデータサイエンス(DS)でも分析対象を経営や政策科学などに特定したモジュールを用意する。留学や教員免許取得のモジュールもある。将来は各モジュールの履修証明を社会人のリカレント(学び直し)教育に活用する狙いだ。さらに社会課題解決を前面に出したアントレプレナーシップや持続可能な開発目標(SDGs)に関する「学際科目」も用意した。

24年3月着工の新校舎は定員増の情報、脱炭素など環境、予防・健康科学の教育研究に使うほか、体育館や健康増進センターが入る。従来の産学官金連携事業に加え、市民の健康増進活動や、プロサッカーチームの大宮アルディージャとの共同研究も検討中だ。

文部科学省に定員増の認可申請を予定する。大規模な理工系私立大学の動向として注目される。

日刊工業新聞 2023年12月12日
山本佳世子
山本佳世子 Yamamoto Kayoko 編集局科学技術部 論説委員兼編集委員
「芝浦工大は大宮の地で定員1.5倍を打ち出した!」と驚いた他大学関係者は多いだろう。確かに欲張った数字に思えるが、「今しかない、絶好のチャンス。他大学と競り勝ってみせる」という気持ちなのだろう。社会ニーズに柔軟に対応するシステムとしての工学、課程制や卒業研究の3年次シフト、学生に強みを持たすモジュール制、人間的な幅を広げる学際科目、キャンパス再編と新建物、地域・産学連携の拡大…。目玉がてんこ盛りの策に、その意気込みを感じた。

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