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発祥の地を離れた芝浦工大、大学院生2000人へ

発祥の地を離れた芝浦工大、大学院生2000人へ

本部棟は広い空間を生かしたデザイン工学部などの学びが特徴だ

芝浦工業大学は豊洲キャンパス(東京都江東区)完成を機とした今後の計画を明らかにした。大学院生数を現在の約1400人から2027年度に2000人へ増やす。またデザイン工学部では25年度に、情報通信技術(ICT)や人工知能(AI)などを駆使した“コトづくりデザイン”コースを設定。豊洲に集約した教育資源の活用と研究力強化を進めていく。

豊洲キャンパスは新本部棟の9月からの本格稼働で完成し、大宮キャンパス(さいたま市)と2拠点になった。芝浦キャンパス(東京都港区)から法人事務部や、デザイン工学部の3、4年生などがこのほど豊洲に移転。芝浦は全棟貸しの収益ビル事業にシフトした。

研究力強化は新棟での研究スペース拡張や大学院生増で進める。近年、進学率向上に力を入れており、20年度約1000人だった大学院生数を、100周年を迎える27年度にこの倍にする。24年度に工学部の学科制を、分野横断的な課程制へ変えるのと合わせ、高度人材養成を強化する。

一方、「新デザイン工学部構想2025」では、同学部の今の2系を「ものデザインコース」「ことデザインコース」に変える。ロボット・情報の系は工学部に似ていたが、コトづくりに向けてデータサイエンスとAIなどを強化。デジタル変革(DX)推進で地域や医療のサービス、電子商取引などに携わる人材を育成する。

日刊工業新聞2022年9月29日
山本佳世子
山本佳世子 Yamamoto Kayoko 編集局科学技術部 論説委員兼編集委員
大学名に冠する芝浦キャンパスは、今回の豊洲キャンパス完成によって貸しビル事業になっと聞いて、ちょっとびっくりした。が、移転によって発祥の地の地名と、その名を冠した大学名の間に、ずれが生じてしまったケースは決して少なくない。一橋大学は東京都千代田区の神田一ツ橋が発祥(今の学士会館あたり)で、今の所在地は東京都国立市だ。お茶の水女子大学は駅名としても有名なお茶の水にあったが、関東大震災後の移転で今は文京区大塚だ。確かに新設大学でずれがあると、受験生も混乱するだろうが、歴史と高評価がある大学なら、少々のずれはマイナスにならないのかもしれない。

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