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豆乳ヨーグルト原料の技術伝承、熟練者の思考をAI化

豆乳ヨーグルト原料の技術伝承、熟練者の思考をAI化

ポッカサッポロフード&ビバレッジでの技術伝承に関する勉強会

ポッカサッポロフード&ビバレッジは豆乳ヨーグルトの原料となる原豆乳製造の技術伝承に、LIGHTz(ライツ、茨城県つくば市)が開発したツール「Indst Park(インダストパーク)」を導入した。インダストパークは熟練者の思考を人工知能(AI)化し、共有することができる。500以上の要素が複雑に関係し合う原豆乳製造の背景にある原理原則や工程の運用方法は、熟練者のみが有していたが、AIを活用し次世代につなぐ。

インダストパークは熟練者の直感的で複雑な思考回路を「ブレインモデル」という形式で言語化し、言語解析AIに教え込むことで、知見や思考様式を共有化することができる。ブレインモデルの構築にあたり、「Weaver(ウィーバー)」と呼ばれる知見抽出の専門家が、独自のヒアリング手法で約3カ月間、熟練者と対話を重ねて複雑な思考を分析し、整理。熟練者から引き出したキーワードから、独自の知見でインパクトを分析し、熟練者の思考の中心点や広がりなどキーワードのネットワークがナレッジデータとなり、これを視覚化する。さらにこのナレッジデータをもとに手順書を作成して、ツールに落とし込む。

ポッカサッポロフード&ビバレッジは2015年に丸大食品傘下のトーラクから取得し、豆乳ヨーグルト事業をスタート。豆乳ヨーグルトはトーラクが独自開発したもので、製造のノウハウは開発者にしかわからない状態だった。ポッカサッポロは19年に豆乳ヨーグルト専用の工場を新設し、約10人の社員が製造に携わっているが、細かな製造設備の調整や、トラブルの対応は開発者に頼ることが多く、技術の共有化が課題となっていた。

ポッカサッポロフード&ビバレッジの豆乳ヨーグルト専用工場

ブランドマネジメント部の武田真一郎副部長は「伝統技術など属人的な暗黙知を形式知に変えるライツのツールが、豆乳ヨーグルトの技術継承に合っていた」と話す。ライツは21年ごろから開発者へのヒアリングをスタートし、22年に原豆乳製造における知見や思考のブレインモデルを構築して手順書を作成。23年からインダストパークを導入した。

武田副部長は「原豆乳の製造工程の原理原則を若手社員も理解できた」とメリットを強調する。ポッカサッポロでは従来に比べ、社員の育成期間が3分の2に短縮され、生産の効率化につながった。豆乳ヨーグルトの事業拡大に向け、課題の一つであった技能伝承をAIの活用により克服した。(高屋優理)


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日刊工業新聞 2023年09月29日

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