牛乳・豆乳に次ぐ「第3のミルク」市場活況、その背景とは?
調理用途拡大 普及のカギ
牛乳と豆乳に次ぐ、アーモンドミルクやオーツ麦を原料としたオーツミルクなど「第3のミルク」といわれる市場が活況だ。低カロリーで栄養価が高く、生産における環境負荷が低いことから、環境意識や健康意識が高まる国内で徐々にニーズが高まる。大手飲料メーカーや食品メーカーが相次ぎ参入し、2022年にはアーモンド飲料を含む植物性飲料の販売額が13年比約20倍の124億円になると予想される。その背景やニーズを探った。(大阪・池知恵)
【くせのない風味】
アーモンドミルク市場の約90%のシェアを握る江崎グリコの「アーモンド効果」の売り上げは、14年の発売からほぼ毎年前年を上回る。アーモンド効果の消費意欲を高めた背景には、「コロナ禍の巣ごもり生活で活動量が減り、同じ飲料でも糖質やカロリーが低いものを選ぶなど健康意識が高まった」(木村幸生執行役員)という。
富士経済グループの調査によると、アーモンド飲料市場は22年に販売額が13年比約6倍の80億円になると予想する。「豆乳と比較し風味にくせがなく、飲みやすさも市場の定着につながった」(富士経済のフードビジネスソリューション事業部)。近年ではポッカサッポロフード&ビバレッジ(名古屋市中区)が新規参入するなど、さらなる市場拡大が見込まれる。
関西圏を中心にスーパーマーケットを展開する阪急オアシス(大阪市淀川区)では、アーモンド効果の4―7月の売上高が前年同期比2倍以上に伸長した。他社のスーパーと比較し顧客層はシニアが多いが、「他スーパーよりも伸び率が高く、高い年齢層でより(アーモンド効果の)ニーズが高まっているのではないか」(バイヤー担当者)と分析する。
アーモンドミルクと同じく、植物性由来飲料と言われるオーツミルクの市場も広がりつつある。これまで、スーパーや量販店では、海外からの輸入商品であるダノンジャパン(東京都目黒区)の「アルプロ」ブランドが目立ったが、3月にマルサンアイと日本コカ・コーラがオーツミルク飲料の国内生産・販売を始めた。
【環境意識】
オーツミルクは元々、ベジタリアンやビーガンが多い欧米を中心に浸透。植物性由来飲料は、生産時の二酸化炭素(CO2)排出量が牛乳と比較して低いなど、世界的な人口増による食糧危機への問題意識や、環境意識が高まる日本でも需要が年々増えている。
ただ、豆乳の原料である大豆と比較して、第3のミルクの原料であるアーモンドやオーツ麦は価格が高い。今後も植物性由来飲料の高いニーズを維持していくためには、「飲料だけではなく、それ以外の調理に生かせるなど、使う用途の広がりがポイントになる」(富士経済のフードビジネスソリューション事業部)とする。