日清紡HDが生分解性プラスチック新素材
日清紡ホールディングス(HD)は分子の骨格部分にイオン結合を有する新たな海洋生分解性プラスチック素材を開発した。結合部分が海水中のナトリウムイオンとのイオン交換によって低分子化されることで、生分解の開始点が増える。
同社は今後、生分解を促進する樹脂添加剤として、プラスチックや素材、成形メーカーへの提案を行う。2024年度にユーザーと評価を進めて具体的なニーズを把握し、25年度初期ごろの市場投入を検討する。近年社会問題となっている、プラスチックゴミによる海洋汚染の解決に貢献する。
新素材の開発は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「海洋生分解性プラスチックの社会実装に向けた技術開発事業」における取り組みの成果。他のプラスチックとともに高温で溶かし、混ぜ合わせやすい構造となっており、プラスチックの物理的性質を大きく損なわない。海域や海水温度によらず、セルロースを超える高い生分解度を示す。このほか、土壌中でも生分解性を有することが確認されている。
日刊工業新聞 2023年10月03日