燃料電池セパレーター売上高200億円、日清紡が新工場に追加投資
日清紡ホールディングス(HD)は、燃料電池セパレーターの売り上げについて、2030年度に定置用・車載用など合わせて22年度比約5・7倍となる200億円を目指す。現在、千葉事業所(千葉市緑区)で新工場を建設中。新工場は24年末に完成し、年600万枚の生産体制を構築するが、定置用電源向けの需要拡大を見据え、50億―100億円規模の追加投資を行い、26年には同1000万枚まで拡大する。同年をめどに車載向けの生産体制についても投資判断を行う。
新工場には定置用の製造ラインと自動車向けの試作対応の設備を導入する。24年の工場完成時には、空きスペースがある状態だが、26年の生産設備の追加導入によって、新工場は28―30年ごろまでに全て埋まる見込みだ。
これを踏まえ、今後車載用についても需要が見込める場合は、量産に向けて新工場が必要になるとみる。その際、セパレーターの売り上げは30年度に200億円規模を見込む。足元では、より大規模な設備投資が必要な乗用車向けではなく、超長距離走行が可能なトラック向けの需要開拓を狙う。
足元、燃料電池セパレーターは主力の海外顧客が景気の落ち込みの影響を受けて注文が遅れている状況だが、中長期的には伸びが期待できる。コストを下げつつも、高品質の製品が生産可能な製法にも挑戦している。
日清紡HDは、グループの日清紡ケミカル(東京都中央区)でカーボン製の燃料電池セパレーターを手がける。耐食性、導電性、軽量性に優れており、家庭用燃料電池では高いシェアを獲得する。
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日刊工業新聞 2023年09月21日