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日清紡が年1000万枚生産体制へ、カーボン製燃料電池セパレーターのメリット

日清紡が年1000万枚生産体制へ、カーボン製燃料電池セパレーターのメリット

日清紡ケミカルのカーボン製燃料電池セパレーター

日清紡ホールディングス(HD)は燃料電池セパレーターの増産計画を上方修正し、2025年度にも現状比5倍となる年産1000万枚体制に引き上げる方針を固めた。24年末に千葉事業所(千葉市緑区)で新工場を稼働し、同3倍の年産600万枚体制を計画しているが、定置用電源向けを中心に需要が急増しており、さらに同事業所に80億円規模を追加投資して年400万枚の生産能力を上乗せすることにした。

燃料電池セパレーターはセルの境界を形成し、燃料ガスや空気を遮断するとともにガスの流路にもなる板状部品。金属製とカーボン製があり、日清紡HDの事業会社である日清紡ケミカル(東京都中央区)はカーボン製のトップメーカー。カーボン製セパレーターは腐食せず、長寿命の設備用としてメリットが大きい。

千葉事業所に新設する燃料電池セパレーター工場(イメージ)

千葉事業所の既存工場に隣接する新工場を月内に着工する予定。工場建築面積は既存工場の2倍となる1万2000平方メートル。建屋は24年春にも完成し、第1期設備の稼働を24年末に予定する。既存工場の設備更新を含め設備投資額は約100億円。生産能力は現行の3倍に高まる。

病院など大型施設の非常用電源やデータセンター(DC)の電源向けに需要増が続いているほか、バスやトラックなどのモビリティー向けが本格化すると需給が逼迫(ひっぱく)する可能性が高い。

そこで25年度にも第2期として追加設備を導入する。稼働すると生産能力は現状比5倍に拡大する見通し。さらに増強が求められる場合は、海外を含めて新拠点を設ける必要が生じる。

日刊工業新聞 2023年03月10日

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