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骨粗しょう症を予防、富士通などが胸部X線活用で骨の状態評価

骨粗しょう症を予防、富士通などが胸部X線活用で骨の状態評価

AI医療機器による分析検査のイメージ

富士通とiSurgery(アイサージェリー、東京都中央区、佐藤洋一社長)は、東京慈恵会医科大学整形外科学講座と共同で、胸部X線写真の活用による骨評価の有用性と、従業員の健康意識・健康行動の変化への効果検証を目的とした実証実験「骨の健康増進プロジェクト」を10月から2025年3月まで実施する。

対象は富士通健康管理センター(川崎市中原区)における富士通グループの従業員向け健康診断の受診者約3万人。企業の従業員向け健康診断において、胸部X線写真を活用して骨評価を実施し、骨の健康増進に取り組むのは国内初という。

実証ではiSurgeryの人工知能(AI)医療機器「医用画像解析ソフトウェア」を活用し、健康診断の受診者に対して、胸部X線写真から骨の状態を評価し、結果を通知する。

評価結果に応じて専門医や精密検査の受診を勧奨するほか、評価結果にかかわらず東京慈恵会医科大が提供する骨の健康に関する基礎知識を活用して、予防のための健康指導なども行う。

従業員の骨粗しょう症の予防や健康に関する意識向上、健康のための行動の変化につながったかをアンケートなどで把握し、企業による従業員向け骨の健康増進施策の有用性を検証する。

実証の結果を踏まえ、費用対効果の高い骨の健康増進事業の実施方法を策定し、骨粗しょう症や骨粗しょう症予備群の早期発見・早期治療につなげる。

高齢化が進む日本では加齢に伴う骨粗しょう症患者が1280万人に上る一方で、骨粗しょう症検診受診率は約5%にとどまり、骨粗しょう症患者のうち約80%は治療を受けていない。骨粗しょう症が未治療のまま放置されることで骨折や要介護状態につながり、これらによる医療・介護総費用は約1兆円に上るとの試算もある。


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日刊工業新聞 2023年10月03日

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