日立・パナ・三菱電は増益、東芝・NECは赤字…電機メーカー・4-6月期決算の明と暗
電機8社の2023年4―6月期連結決算が9日出そろい、本業の堅調さや価格転嫁の進展などを受けて、日立製作所、パナソニックホールディングス(HD)、三菱電機の3社が当期増益だった。
他方、東芝はメモリー半導体大手であるキオクシアHDの持ち分法損失を受けて当期赤字に転落した。NECは赤字幅は縮小したものの、期末偏重の決算であることと通信事業者向け事業の投資負担が足かせとなり、2期連続の当期赤字となった。
売上高は日立や東芝など4社が事業再編の影響などで減収だった。ただ、為替の円安効果や原材料価格の高騰を踏まえた製品への価格転嫁などはプラスの要因として収益に寄与した。
日立は鉄道システム事業や電力インフラ事業の受注が堅調だったことなどから、当期利益が前年同期比88・4%増の700億円になった。パナソニックHDは子会社の特別清算が寄与したほか、車載電池や自動車部品、航空機向け電子機器といった事業の好調で当期利益は同4・1倍の2009億円と大幅に伸びた。
三菱電機も空調・家電や自動車機器の需要拡大などを受け、当期利益は同72・7%増の578億円となった。また、売上高は同14・3%増の1兆2203億円と4―6月期として過去最高を更新した。
富士通は調整後営業利益が同90・7%減の26億円となった。高止まりしていた半導体パッケージの需要が大幅に落ち込んだことが響いた。主力のITサービス事業は内需中心に底堅く推移し、収益をけん引した。
シャープは当期利益が同79・5%減の55億円と、大幅な減益となった。子会社の堺ディスプレイプロダクト(堺市堺区)を含む液晶パネル事業の不振が長引いている。
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日刊工業新聞 2023年08月10日