西島製作所が50年ぶり鋳造工場刷新、ポンプ部品5割増
酉島製作所は本社敷地内の鋳造工場(大阪府高槻市)を約50年ぶりに大幅改装する。投資額は最大30億円。容量10トン規模の高周波電気炉や砂処理設備などを新規導入し、2024年4月の稼働を目指す。
同工場の生産能力は現状比5割増になる見込みで、ポンプに使う大型部品や特殊部品の製造を強化する。部品内製化による納期短縮や低コスト化も進め、上下水道用ポンプ、農業用ポンプの需要を取り込む。
鋳造工場は耐震工事や外装のリフォーム、集塵能力の増強に加え、溶鉄に近い作業エリアなど危険を伴う作業を省人化するための設備も設置する。高温に早く達する高周波電気炉を導入し、省電力を目指す。二酸化炭素(CO2)換算で年間約190トン削減できるという。
酉島製作所は鋳造設備を自前で保有する。需要の大きい上下水道用・農業用のポンプについては主要部品のほとんどが鋳鉄製だ。鋳造設備を保有することで、納期短縮や顧客要望への柔軟な対応を可能にしている。
同社は21年、ウクライナ情勢の悪化による食糧供給難の影響で、エジプト向けに200台を超える大型農業用ポンプ納入案件を受注した。国内においても国・自治体の豪雨対策、国の国土強靱化(きょうじんか)計画などを背景に受注は堅調だ。受注残高は23年6月末時点で900億円超に積み上がっており、23年度の業績は4年連続となる増収・全利益段階での増益を見込む。
日刊工業新聞 2023年09月12日