製造業でも若者向け社宅に力を入れ始めた!

一体感醸成、国際化へ対応

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エクセディの単身者用社宅(大阪府寝屋川市)
 一部のモノづくり企業に社員寮や社宅を改築・新築する例が出てきた。若者の寮離れや企業の資産圧縮のために、古くからの寮や社宅の処分が相次ぐ一方で、その機能を見直そうとする動きも起こっている。背景には人手不足への対策や企業文化、連帯感の醸成があるとともに国際化への対応なども挙げられる。為替の円安傾向でコスト負担が一息ついているとはいえ、投資費用も決して少額ではない。寮・社宅を建てる各社の狙いを探った。(大阪・小林広幸)
 
 三菱電機は2月、和歌山市の冷熱システム製作所近くに独身寮を着工した。140戸収容で投資額は約14億円、2016年春の入居開始を予定する。新卒など若年層の入居を想定し、大食堂を設けて住環境や食の面で生活を支援する考えだ。
 14年には静岡、福山の両製作所でも十数億円を投じて、100戸超収容の独身寮を建設した。地方事業所に勤務する遠方出身者にとって、寮は大事なコミュニティーだ。将来を担う社員が寝食を共にし、企業のDNAを学ぶ場として、社員教育の一環として位置付ける。

 酉島製作所は16年春の完成を目指し、築40年と老朽した藍野寮(大阪府高槻市)の建て替えに取り組んでいる。203戸を収容し、投資額は約10億円。地方出身の高卒社員や海外からの研修生の生活の場とする。
 寮内にはセミナー室を設け、屋外レクリエーションが可能な中庭も整備。「入居者が交流できるような仕掛けを準備した」(酉島製作所の高橋広人総務部長)と話す。シャワー室や自炊室を設け、異文化に配慮している。

 エクセディは本社近くに単身者用社宅インターナショナルスクエア(大阪府寝屋川市)を完成させた。86戸収容し、投資額は約7億円。共同住宅の間取りで、共有部分にはカラオケ室やパーティー室を備えた。新入社員や出張者、海外からの技能実習生などグループ社員が生活・交流する場として企画された。
 エクセディの清水春生会長は「“内なる国際化”を狙いとしている」と明かす。同社はグローバルに同じ制服を着用するなどグループの一体感醸成に努めており、社宅は仲間意識を高めるのに一役買うと期待する。16年には三重県伊賀市の上野事業所にも、同じコンセプトの150戸規模の社宅を建設する計画だ。

 3社ともに共通する狙いは入居者同士のコミュニケーションだ。企業に対するロイヤルティーも高まり、定着率向上の効果が見込まれる。人間性の確立や社内人脈の形成につながるともされる。
 若者の好みは多様化しているが、時代に合った寮のあり方を各社は模索している。そこには日本のモノづくり企業が直面している人材不足、グローバル化といった本質的な課題も見えてくる。

日刊工業新聞2015年05月11日 列島ネット面

COMMENT

昆梓紗
デジタルメディア局
記者・編集者

寮や社宅の新改築の動きは各業界でも進んでいて、たとえばSMBC日興証券では4月に独身寮を15年ぶりに復活させています。 シェアハウスなどが一般的になり、他人と繋がりながら暮らすことに対する評価が高まっています。安く良い条件で暮らせることも、現在の若者のニーズに合っているのかもしれません。

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