地域バス、体験型観光…関西の鉄道が沿線活性化へ実証
南海電気鉄道や京阪ホールディングス(HD)など関西の鉄道会社が沿線地域の活性化に向けた実証実験を行う。南海電鉄はJCOM(東京都千代田区)、南海バス(堺市堺区)と共同で、起伏ある住宅団地に住む高齢者らの利便性向上に向けてオンデマンドバスの活用を図る。京阪HDは東邦レオ(大阪市中央区)と共同で、大阪府交野市の交野線私市(きさいち)駅の駅前広場を活用した地域体験ツーリズムのイベントを開く。地域の課題解決を図って地元への貢献度を高める。
南海電鉄 予約でバス配車、外出促進
南海電鉄は10月―2024年1月に堺市と大阪府和泉市にまたがる泉北ニュータウンで、客席8人のワンボックス車両によるオンデマンドバスを移動手段として提供する。時刻表や決まった運行経路がなく予約に応じて効率的に配車する。22年度に続く2回目で、商業施設などの停留所を増やし、運行のエリアや期間も広げる。周辺店舗利用時などの割引施策も拡充する。
地域住民らがヘルスケア関連のアプリケーションでためたポイントをバスの乗車運賃に使える実験も行い、高齢者の外出促進につながったかなど移動ニーズを検証する。JCOMは今回新たに参加し、堺市の拠点などで展開する社内営業員向けライドシェアサービスで蓄積したデータやノウハウを生かす。
京阪HD 駅前で体験型観光実験
京阪HDは9―12月に都市と郊外の人が交わるよう次世代の駅前広場社会実験「キサイチゲート」を開く。自然や防災、コミュニティー、学び、健康をテーマにした体験型観光コンテンツ開発の一環。防災目的の駅前たき火体験、駅前から自然の中を走るトレイルランニング体験、地元住民や事業者が企画する駅前マルシェなどを開く。イベント初日の16日に地元産ホップを使ったクラフトビールの披露セレモニーも開く。
交野市は高齢化が進み空き家や休耕地が増えている。自然環境や観光施設など活性化材料の地域資源はある。実験を通じて地域を主体にした持続可能な運営組織の育成を図る。