南海電鉄が係員乗せて「自動運転」、和歌山港線で走行試験
南海電気鉄道は運転士以外の係員が先頭車両に乗車しての自動運転実現に向けた走行試験を8月ごろに和歌山県の和歌山港線で始める。自動運転システムの安全性や安定性の確認、係員が行う作業での課題抽出を行う。生産年齢人口減による労働力不足の課題への対応を図る。将来の和歌山港線と大阪府の高師浜線での導入を目標に検討する。
システムは南海の自動列車停止装置(ATS-PN)と、南海と京三製作所が共同開発した高機能型自動列車運転装置(ATO)を組み合わせた。通勤型車両「8300系=写真」2両編成に運転士が乗務した状態で和歌山市駅-和歌山港駅間で昼と夜に試験走行する。
運転士が運転する際と同等の目標速度への加減速、停止精度などを確認する。試験結果を踏まえて有識者で構成する検討委員会で安全性評価を行う。
係員付き自動運転は緊急停止操作や避難誘導などができる係員が先頭車両の運転台に乗務する。既存設備を活用して導入でき、投資コストを抑えて費用対効果を高められる。国内での導入事例はまだないという。
日刊工業新聞 2023年06月15日