北陸新幹線「金沢―敦賀」延伸、運行体制はどうなる?
JR東日本とJR西日本は2024年3月に北陸新幹線を金沢―敦賀間で延伸開業し、地域間流動を活性化する。東京―敦賀間の直通列車を「おおむね毎時1本」(長谷川一明JR西日本社長)の1日14往復運転する。このうち9往復は速達タイプの「かがやき」で、金沢―敦賀間で全列車停車の福井に加え福井以外の4駅にも一部停車する。在来線特急との接続が役割の「つるぎ」は合計4駅通過タイプを設ける。既存区間の隣県までの延伸だが、運行体制は従来の延長ではなく違いを出して移動需要を取り込む。(大阪・市川哲寛)
かがやきは5往復が大宮―敦賀間では長野、富山、金沢、福井の県庁所在地のみに停車する。最速列車の所要時間は東京―福井間が2時間51分、東京―敦賀間が3時間8分の予定。「首都圏と(富山・石川・福井の)北陸3県の県庁所在地を3時間以内で結ぶ」(長谷川社長)ことで経済活動活性化を図る。東京の羽田空港と石川の小松空港を結ぶ航空路線との競争もあるが「サービス向上で新幹線利用へ努力する」(同)と切磋琢磨(せっさたくま)する考え。
かがやきの残り4往復は小松、加賀温泉、芦原温泉、越前たけふの各駅に2往復ずつ停車する。大宮―敦賀間の停車駅はほかの5往復と同じで首都圏と延伸区間の利便性を高める。「マーケティングや輸送力を考慮し、最大限の利用を図るため設定した」(同)と説明する。
一方、大阪や名古屋と北陸を結ぶ在来線特急は敦賀までの運転となり、これらと接続するつるぎは富山・金沢―敦賀間を25往復運転する。各駅停車を中心として「乗車機会を確保する」(同)。
かがやきや停車駅の多いタイプの「はくたか」は在来線特急と乗り継ぎが不可能ではないが、ダイヤ編成ではつるぎを中心とする。従来関西と福井、金沢は直通していたが、延伸により敦賀での乗り継ぎが必要になる。「それぞれの列車の旅を楽しめるようにPRする」と乗り継ぎがある旅の需要創出も図る。
JR東日本の中川晴美常務執行役員は「北陸3県は従来、関西方面との往来が多かったが周遊性が高まる。(観光地の多い)長野県からの旅の可能性も広がるのでプロモーションを行う」とインバウンド(訪日外国人)需要などをにらんで旅行利用を促す。
北陸新幹線は大阪まで延伸して全線開業となる。関西経済連合会や大阪府などは10月に北陸新幹線整備促進シンポジウムを開いて早期着工の機運醸成を図る。早期の全線開業につなげるためにも今回の延伸でどれだけ利用増できるか注目される。