100km走る水素・燃料電池電動アシスト自転車、公道実証を開始
日邦プレシジョン(山梨県韮崎市、古屋俊彦社長)と東海技研(横浜市港北区、大槻塁社長)は、山梨大学と連携して開発を進める水素・燃料電池(FC)電動アシスト自転車を使い、山梨県富士川町の公道で実証事業を始めた(写真)。同自転車の公道走行は初めて。走行開始セレモニーで、長田公山梨県副知事は「新技術への挑戦は困難を伴う、技術者をはじめとした熱意がつながった。社会実装の第一歩となることを期待したい」とあいさつした。
同町の「道の駅富士川」にレンタサイクルとして最大5台を設置。同自転車には最大出力200ワットの燃料電池スタックと、容量1・1リットル、200気圧の小型高圧水素容器を搭載し、約100キロメートル走行できる。こうした自転車は現在の法律などの規則では公道走行できないが、安全性に関するガイドラインを策定。これを基に経済産業相の特別認可(大臣特認)を受けた。
社会実装に向け日邦プレシジョンなどは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)に実証事業を申請、2023年3月に採択となったため、公道での実証事業を始動した。同様の実証事業は11月から甲府駅周辺でも行う予定。実証期間は25年1月まで。
山梨県では次世代エネルギー活用のためのインフラ整備・支援を積極化している。今回利用する水素については甲府市米倉山のP2G(パワー・ツー・ガス)システムで製造したグリーン水素を使用する。
日刊工業新聞 2023年月8月22日