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ソフトバンクはポケトークとの連携で法人顧客基盤を盤石にできるか

低容量IoT回線で費用減
ソフトバンクはポケトークとの連携で法人顧客基盤を盤石にできるか

ソフトバンクは独ワンスの低容量IoT回線サービスを国内で販売している

ソフトバンクとポケトーク(東京都港区、松田憲幸社長)は、小型通訳機「ポケトーク」の拡販で提携した。同通訳機に、ソフトバンクが提供する独1NCE(ワンス)の低容量IoT(モノのインターネット)回線サービスを採用。日本を含むグローバル市場において今後3年間で100万台の販売を目指す。コロナ禍の収束でインバウンド(訪日外国人)の数が回復しつつある。両社は高まる多言語対応のニーズを取り込めるかが試される。

ポケトークは互いの言葉を話せない人同士が自国語のままで対話できる人工知能(AI)通訳機。74言語を音声・テキストに翻訳し、11言語をテキストのみに翻訳できる。2017年12月に発売し、22年12月時点で累計100万台超の出荷実績がある。

ソフトバンクとポケトークは、同社が手がけるこの小型通訳機やパソコン向け翻訳ソフトウエアなどのソリューションの展開に向けて業務提携した。ポケトークはソフトバンクのビジネスパートナープログラムに加盟し、ソフトバンクの法人営業約3300人と連携。同社の法人顧客にポケトークを売り込んでいく。

ソフトバンクは法人事業領域において、国内の大企業の約93%と取引実績を有するなど幅広い法人顧客網を持っており、ポケトークの拡販でもこの強みを生かす格好だ。ソフトバンクが取り扱う法人向けのウェブ会議システム「Zoom(ズーム)」の既存顧客向けには、法人向けの翻訳ソフト「ポケトーク for BUSINESS(ビジネス) 同時通訳」とズームを組み合わせた提案も行う。

ただ、ソフトバンクが今回のポケトークとの連携で活用するのは顧客網だけではない。ソフトバンクが22年10月から国内向けに独占販売を始めた、ワンスの低容量IoT回線サービスも武器の一つとする。

同サービスはプリペイド(前払い)式で、価格は1回線当たり10年間一括2200円(消費税込み)。データ容量は500メガバイト(メガは100万)。従来、IoT用の無線サービスは基本料金に加えて従量制料金がかかる例が多く、利用企業の費用は高くなりがちだった。一方、ワンスのサービスは低価格で手軽に導入できる。

ソフトバンクにとって法人事業は成長領域の一つ。法人向けサービスのラインアップを増やし、顧客基盤をさらに盤石なものにする観点でもポケトークとの提携は重要となりそうだ。

日刊工業新聞 2023年08月02日

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