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PHSサービス終了…ソフトバンク・NTTコムが医療向けスマホ移行で攻勢、決め手は?

PHSサービス終了…ソフトバンク・NTTコムが医療向けスマホ移行で攻勢、決め手は?

BBバックボーンが手がける通信規格「sXGP」はスマホでも利用可能

簡易携帯電話(PHS)の公衆サービスが3月に終了したことを機に、情報通信技術(ICT)企業が医療機関向けに後継サービスで攻勢をかける。ソフトバンクは次世代通信規格「sXGP」に対応するスマートフォンの種類を増やした。NTTコミュニケーションズ(NTTコム)はスマホを利用した電子カルテへの音声入力ソリューションの実証を展開する。各社はいかに医療機関の業務効率化を後押しできるかが問われる。(張谷京子)

これまで多くの医療機関では、内線電話・ナースコール用としてPHS端末を利用していた。現在も医療機関の約8割がPHSを利用していると言われる。公衆サービス終了後も内線用のPHSは継続して使えるが、今後は音声品質の低下が懸念される。PHS端末と基地局の製造数は縮小が見込まれ、これらの価格が高騰する可能性もある。

こうした状況を踏まえ、ICT企業は医療機関向けにスマホを軸にしたPHSの後継サービスの展開に力を入れている。スマホでは、音声電話だけではなく、電子カルテの入力・閲覧や患者の生体情報の確認といった用途でも活用可能。少子高齢化に伴う医療ニーズの増加や人材不足などで医療機関の働き方改革が急務となる中、スマホの利用拡大で業務デジタル化・効率化を後押しする。

ソフトバンク子会社のBBバックボーン(東京都港区)が訴求するのは、1・9ギガヘルツ(ギガは10億)帯の電波を利用した通信規格のsXGP。sXGPは構内PHSと同様に、免許不要でプライベートネットワークの構築ができる一方で、スマホにも対応する。

同社は4月に、従来利用可能だった米グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」搭載のスマホに加え、米アップルのスマホ「iPhone(アイフォーン)」でもsXGPを利用できるようにした。「医師ではアイフォーン好きな人が多く」(担当者)、新たに約25件の問い合わせが発生するなど、引き合いが急増した。

一方、担当者は「(sXGPなどの)通信システムだけで儲けるのは厳しくなっている」と話す。例えば医師の位置情報を確認できるようなサービスなど「アプリケーションと一緒に提案していく」と意気込む。

他方、NTTコムは1―3月に、奈良県の医療機関にスマホを試験導入。音声で電子カルテに入力できるソリューションの有用性を検証した。その結果、同ソリューションの活用で1カ月で1人当たり7・8時間の記録業務の削減効果を見込めることがわかった。

医療機関にとってスマホ導入は運用コストの増大が懸念される。ただ、同社担当者は「いかに時間単位で業務が効率化できているかなど(間接コストの低減度を示すことで)導入費用をリカバリーし、PHSからの移行を促進する」と語る。今後NTTコムは、同実証の結果を踏まえ、全国の医療機関にITツールを展開していく方針だ。

日刊工業新聞 2023年06月28日

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