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NTT東、ソフトバンク…IoT需要狙うそれぞれの戦略

NTT東、ソフトバンク…IoT需要狙うそれぞれの戦略

NTT東は「ギガらく5G」を活用した製造・物流工程用ソリューションの実証を始めた

情報通信技術(ICT)各社がIoT(モノのインターネット)を支える無線サービスの展開に力を注いでいる。NTT東日本は第5世代通信(5G)を地域限定で利用するローカル5Gを使った製造業向けソリューションの実証を始めた。ソフトバンクは独1NCE(ワンス)の低容量IoT回線サービスを展開する。無線は移動や持ち運びに便利で、有線と比べて運用しやすい。多様な商材でIoT需要の取り込みを図る。(張谷京子)

NTT東はローカル5Gの法人向けサービス「ギガらく5G」を活用した製造・物流工程用ソリューションの提供を見据え、実証を始めた。東京都調布市の自社施設にロボットや自動搬送車(AGV)といった複数の機器を設置し、ソフトウエアで一元管理できるようにした。

ギガらく5Gは低価格なローカル5Gサービスとして2022年5月に提供を始め、製造業を中心に引き合いが堅調という。だが同サービスで複数の機器を一元的に管理・運用したい場合、顧客自身が管理・運用ソフトを開発する必要があるなど、導入に手間がかかっていた。NTT東は製造・物流業に特化したソリューションを開発することで、ギガらく5Gの導入を加速したい考えだ。年内に実証を終え、24年度の提供を目指す。

京セラみらいエンビジョン(KCME、東京都港区)もローカル5Gサービスの提供を進める。同社のサービスの特徴は顧客の要望に応じて柔軟に導入支援を行える点だ。ローカル5G導入に向けては、事前調査から免許申請、基地局設置、運用保守まで複数の工程があるが、同社はその全てを一貫して請け負える。ただ導入支援をパッケージとして提供するわけではなく、顧客が必要な工程のみを柔軟に対応する。

ソフトバンクは独ワンスの低容量IoT回線サービスを国内で独占販売している

KCMEはサブシックスと呼ばれる6ギガヘルツ帯(ギガは10億)未満の帯域の電波に対応したローカル5Gソリューションの提供を22年に開始。同社によると現在の導入案件数は「1ケタ台」にとどまるものの、引き合いは「23年に入って10―20件に上る」。

ソフトバンクが拡販を急ぐのは、ワンスの低容量IoT回線サービス。22年10月から国内向けに独占販売を始めた。同サービスはプリペイド(前払い)式で、価格は1回線当たり10年間一括2200円(消費税込み)。データ容量は500メガバイト(メガは100万)。

従来、IoT用の無線サービスは基本料金プラス従量制料金が基本で「安くなかった」(ソフトバンク担当者)。一方、ワンスのサービスは低価格で手軽に導入できる。ソフトバンクは、建物や工場の設備管理や物流のトラッキング(追跡)など向けに訴求する。

今やあらゆるモノがインターネットにつながる時代。企業はIoTの活用で生産性向上や新規ビジネスの創出を狙う。ICT各社が無線の価値を生かしたサービス展開で顧客の多様な需要に応えられるかが今後のIoTの普及を左右しそうだ。

日刊工業新聞 2023年月5月30日

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