生成AIを正しく使える人材育成…文科省が大学向け要点提示
文部科学省は大学に向けて生成人工知能(AI)の取り扱いに関する重要事項を提示する。生成AIに対して独自の指針を示す約100校の情報をまとめ、各大学が共通して取り上げた事例を中心に利点・欠点や一般的な特徴を盛り込む。全大学に共有し、生成AIの取り扱い方法の確立や見直しの参考にしてもらうことが狙い。公表時期は現時点で未定。生成AIを正しく使える人材の育成につなげる。
文科省では各大学が示した生成AIに関する指針を収集・分析して、共通の重要事項を取りまとめている。多くの大学が示した指針には作業の自動化などの利点や、信ぴょう性の低い情報が含まれていることや情報漏えいの危険性があることといった欠点が取り上げられており、これらを含めた取り組みが盛り込まれる見込み。
米企業が開発した生成AIの一種である「チャットGPT」が2022年11月から一般公開したことをはじめとして、多くの人が無料で生成AIを試せるようになった。
大学でも授業や研究で生成AIを活用できる場面もあるが、課題リポートの作成や論文執筆では著作権の侵害などの問題から使用に否定的な意見もみられる。そのため、多くの大学が4月上旬ごろから生成AIの取り扱いについて独自で指針を示している。
文科省は小中高生を対象にした生成AIのガイドラインを4日に公表した。授業での活用を認めているが情報活用能力が不十分な段階での使用を不適切としているなど限定的な利用から始めることを推奨しており、未成年の児童や教員に向けたガイドラインで学習指導要領を考慮した内容になっている。
大学に示すとりまとめにも一般的な特徴や注意点といった同ガイドラインと共通する内容も多く含まれている。ただ対象が成年であり、大学での生活や研究で使うことを想定した内容になるとみられる。各大学の取り組みを示すことで生成AIを正しく使える人材を育てることを目指す。