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“心にも充電”…トヨタが始めた「レクサス」EV専用サービスの全容

“心にも充電”…トヨタが始めた「レクサス」EV専用サービスの全容

東京ミッドタウン日比谷に設置された充電ステーション

電気自動車(EV)だけでなく、心にも充電を―。トヨタ自動車は15日、高級車ブランド「レクサス」でEV専用サービスを始めたと発表した。充電ステーションの整備などEV利用の不安を解消するほか、レクサスならではの体験を提供する。充電の待ち時間を有意義に過ごせる仕掛けを展開する。また、販売店や公共施設などに任せるのではなく、トヨタ自らが充電インフラの整備に乗り出すことで、EV利用にまつわる課題の抽出にもつなげたい狙いがある。(名古屋・川口拓洋)

東京・日比谷に拠点開設 待ち時間有意義に、新たな価値提供

トヨタが始めたEV専用サービス「レクサス・エレクトリファイド・プログラム」は、EVの不安解消とレクサス独自のサービスの体験を通じ、保有者に移動以外の新たな価値を提供する。同プログラムでは自宅への充電設備の無償設置や車載電池の下取りなどを含む複数のサービスを展開する。その第1弾として15日に国内で初めて予約型急速充電ステーションを「東京ミッドタウン日比谷」(東京都千代田区)に整備した。体験型施設「レクサス・ミーツ」がある点や東京都はEVの利用者が多いことなどを考慮した。

出力150キロワットの急速充電器を2基設置。60日前から予約可能で、限られた充電設備を空いているか不安を抱えたまま探すという不便さを解消する。同施設内では飲み物の無料サービスなどを用意し、充電時間をムダにさせない仕掛けを施す。

併設のカフェでは季節限定のスイーツや飲み物なども楽しめる

専用のアプリケーションから予約可能。駐車場にはカメラが設置してあり、車番を認証することで駐車スタンドが自動で下がる。光で駐車位置に誘導するほか、アプリにクレジットカードを結び付けることで現地での支払いも不要になる。利用は最初の3年は無料、その後は月額1000円で、1分当たり80円の電気料金がかかる。

同様の充電ステーションを2025年までに12カ所、30年までに100カ所開設する方針だ。23年内には「軽井沢コモングラウンズ」(長野県軽井沢町)に設置予定。レクサスオーナーがよく利用する立地を選定し、配置する。今後はレクサス保有者以外でも当日に空きがあれば利用できるよう検討する。

自らインフラ構築 顧客の課題・ニーズ把握

EVの普及には充電インフラが不可欠だが、自動車メーカーがインフラ設備を構築する狙いについて、レクサスコト事業推進部の横浜拓哉部長は「設置することでお客さまの課題やニーズを把握できる。充電ネットワークの構築にも貢献する」と話す。トヨタでは今後も同プログラムの内容の充実を図る。全国184店舗のレクサス販売店に50キロワット以上の充電器を設置。レクサスならではのサービスとして、国内外の高級ホテルの充電器設置状況を紹介しながら朝食のサービスが受けられる体験などを展開していく。


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日刊工業新聞 2023年06月16日

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