ニュースイッチ

トヨタが「レクサス」初のEV専用車を投入、保有者向け新サービスで顧客拡大なるか

トヨタが「レクサス」初のEV専用車を投入、保有者向け新サービスで顧客拡大なるか

手前からレクサス初のEV専用車「RZ」と、一部改良したEV「UX300e」

トヨタ自動車は、高級車ブランド「レクサス」初の電気自動車(EV)専用車「RZ」を発売した。またレクサスのEV保有者向けに、新たな専用サービスも始めた。自宅の充電設備の無償設置、急速充電インフラ整備、車載電池の下取りなどを行う。直営の183店舗に加え、2030年までに全国100カ所の商業施設などに急速充電器を設置する方針だ。EV普及に向け、顧客獲得策を強化する。

RZはスポーツ多目的車(SUV)タイプで、航続距離は約494キロメートル。リアモーターに炭化ケイ素(SiC)半導体を採用するなど電費改善を図った。消費税込みの価格は880万円。最初に発売する500台は、特別仕様車として同940万円で売り出す。

EV専用サービス「レクサス・エレクトリファイド・プログラム」は、充電インフラに対する不安解消やEV保有の付加価値を高める狙いで導入した。まずは6月に「東京ミッドタウン日比谷」(東京都千代田区)に出力150キロワットの急速充電器を設置し、以降、25年までに全国12カ所に広げる。レクサスEV保有者は専用アプリケーションで事前予約することで、充電設備を優先的に利用できる。

また車載電池回収を促す方策として、レクサス販売店での下取り時に新車の場合は20万円、中古車の場合は10万円を協力金として支払う。「資源利用の観点で、今後の回収モデルを考えていく」(担当者)という。

このほか自宅などに設置する充電器本体と工事費用の全額負担や、充電器付きの宿泊施設などを軸とした独自の旅行プログラム、充電時間中の施設利用などが可能だ。同プログラムは新車購入から3年間無償提供する予定で、まずは国内のみで展開する。国内では米テスラや独アウディが独自の急速充電インフラを構築するなど、サービスを拡充している。トヨタの参入により、各社の顧客獲得競争が活発化しそうだ。

小型SUV型EV「UX300e」も、一部改良して発売した。航続距離を従来比約40%増の512キロメートルにするなど、性能を向上した。過去に販売された同車両の保有者も、26年3月まではEV専用サービスを無償利用できるという。


【関連記事】 トヨタの世界戦略を支える強力な「日独連合企業」
日刊工業新聞 2023年03月31日

編集部のおすすめ