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ソニーGが金融子会社分離、社長が語った目的

ソニーGが金融子会社分離、社長が語った目的

説明するソニーグループの十時社長

半導体・エンタメに集中

ソニーグループは18日、金融子会社であるソニーフィナンシャルグループ(SFGI)を分離・独立(スピンオフ)させる検討を始めたと発表した。2、3年後をめどに実施し、株式上場を想定している。SFGIは2020年9月に約4000億円を投じて完全子会社化したばかり。半導体事業やゲーム、映画などのエンターテインメント事業などに投資を集中し、一層の企業価値の向上を目指す。23年度末にかけて詳細を詰める。

18日開催した経営方針説明会で明らかにした。SFGIのスピンオフ実行後もソニーGが20%弱の株式を保有し、社名を含むソニーブランドを引き続き活用できる。23年度の税制改正で認められた子会社などのスピンオフの際に税制を優遇する制度を活用する。

十時裕樹社長は完全子会社化は親子上場の解消や経営力の強化などが目的だったとした上で、同制度の活用により「金融各社の社名やブランド、グループ内での位置づけを変えることなく上場し、独自の資金調達の能力を備え、中長期でのさらなる成長を目指していく」と説明した。

金融持ち株会社のSFGIは04年設立。傘下にソニー生命やソニー銀行、ソニー損害保険などを持つ。金融事業の24年3月期の営業利益は、ソニーG全体の約15%となる1800億円を見込む。

一方で金融事業以外のスピンオフは現在のところ想定していないという。十時社長は「ポートフォリオは静的なものではなく、動的なもの」としつつ、半導体事業については「投資はまだ内部でやっていける。現在、スマートフォン向けのイメージセンサーから徐々に車載や産業機器に生産が広がっており、まずはしっかりとやっていきたい」と述べた。


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日刊工業新聞 2023年05月19日

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