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パナソニックは当期最高益・ソニーは当期減益…電機8社、それぞれの業績予想

電機8社の2024年3月期連結業績予想は、世界的なデジタル変革(DX)の機運などに伴い、5社が増収を見込む。利益面では各社とも為替が前期より円高に推移するほか、引き続き部材価格や輸送費高騰の影響を受けると予想。一方で価格転嫁が順調に進むとする企業も多く、4社が当期増益となり、1社が当期黒字に転換する見通しだ。地政学リスクは依然あるものの、パナソニックホールディングス(HD)などが当期最高益を見込む。

電機8社

ソニーグループの24年3月期は減収当期減益の見通しだ。金融分野の減収やモバイル機器向けのイメージセンサーなどを扱う分野などが製造経費の増加や円高の影響を受ける。十時裕樹社長は、景気減速懸念から中国や米国のスマートフォン市場などの「事業環境は楽観できない」としている。

日立製作所は23年3月期に当期利益で3期連続の過去最高を更新した一方、24年3月期は減収当期減益を予想する。自動車部品事業の子会社日立Astemo(アステモ)の出資比率を23年9月に引き下げて連結から外すことなどが要因だ。

ただ、それらの影響を除けば原価低減や価格転嫁などが効き、実質的には増益基調を維持する見通し。小島啓二社長は「事業ポートフォリオの改革は一区切りがついた。今後はサステナブル(持続可能)な成長へと経営の主軸を切り替えていく」と強調する。

パナソニックHDは当期利益が過去最高となる3500億円を予想。価格改定や合理化対策のほか、電気自動車(EV)向け電池などを自国で生産する企業を優遇する米国のインフレ抑制法(IRA)補助金見合いの利益計上などが業績を押し上げた。三菱電機も当期利益が過去最高を更新する2600億円を予想。空調・家電事業や工場自動化(FA)システム事業、パワー半導体の需要が底堅い上、価格転嫁も進むとみている。

富士通NECの両社は、国内を中心とするDX需要がけん引するなど引き続き業績は堅調で、増収当期増益を予想する。また、両社とも部材の遅延は回復し、安定供給を維持する。

一方、東芝は営業減益要因として為替差損で138億円、素材・輸送費の高騰で165億円をそれぞれ織り込むが、価格転嫁が296億円の営業増益要因となるなどし、連結営業利益は前期並みを見込む。

23年3月期に大幅な当期赤字となったシャープは、ディスプレーデバイス事業の立て直しや新規事業の具体化などで「24年3月期の黒字化を必達する」(呉柏勲社長)としている。


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日刊工業新聞 2023年月5月16日

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