製造現場リーダーが、メンバーの成長を促すために必要なこととは?
自身が育つ環境が整わない中で、努力している現場リーダーは「トラブル等の経験が少なくて対応できない」「モノゴトを広く俯瞰できない」「裁量権がないため判断して実行できない」「手本となる現場がない」などの悩みを持っている。そのようなリーダーのために、「一流のプロを目指せ」をコンセプトに記された書籍『新装版「工場管理」基本と実践シリーズ 現場リーダースキルアップノート』から、人づくりのために目標管理を活かす方法を紹介する。
人づくり 目標管理を活かす
POINT
目標管理制度を採用していても、有効に機能させているところはまだ少ない。今までの実績を反省し、原点に帰ってその進め方を見直す。個人目標と組織目標を連動させることにより、メンバーの成長と業績の向上が相まってスパイラルアップすることを狙う。
【Q】
この工場ではコンサルタント主導の下に、目標管理を導入してから5年ほど経過しますが、小石リーダーの職場では運用が形骸化してしまい、中には日常の忙しさを口実にして実施しない人も見られます。何とか本来の趣旨を踏まえて、再出発したいと思っています。
【A】
⑴ 目標管理が直面する問題を調べる
① 改善にばかり頭が行き、日常的な維持業務が後手になっていないか
② 事務処理量が増大していないか
③ 打合せに時間を取られていないか
④ 形を整えるのに精いっぱいではないか
⑤ 運用が形骸化していないか
⑥ 文章能力や発言能力が過大評価されていないか
⑵ 運用効率化のために
① 様式はなるべく実質的で簡素なものとする(図1)
② 日常的な維持業務も積極的に目標に取り上げる
③ 部下とのコミュニケーションが深まれば、時間は気にならないはずである
④ 文章表現だけに目を奪われるのではなく、業務実態も把握する
⑤ 目標管理を的確に運用するためには、技術や手法(テクニック)や書類だけに頼らず、「ホウレンソウ」がうまく機能する職場をつくれば目標管理運用の潤滑油となる
① 経営目標と直結させ、個人目標が達成され、成果が上がれば、経営は評価する
② 実行の期限が明確になり、上司も同僚もお互いに安心できる
③ 目標と実行がチームの中で公開されるため、問題意識が共有化される
④ 部下とのコミュニケーションが深まり、仕事の具体的なやりとりの機会が増える
⑤ 目標の達成度が評価の尺度になり、賃金や昇進の決定が公平になる
⑷ 目標管理テーマを設定する
テーマ設定には順序を踏みます(図2)。
⑸ 部下が達成できなかった場合
部下の達成度が不十分な場合、叱るだけでなく、その原因を一緒に考え、励ましながら、次回は達成できるよう援助します。
【解説】
⑴ 個人目標は経営方針や組織目標と連動
目標管理とは、企業がその目的を達成し、ビジョンを実現していくために、個人の目標を経営方針や組織目標と連動させた上で、具体的かつ明確に設定させるためのプロセスです。
目標とは、ある一定の期間に上げるべき成果を具体的に示したものであり、目標のないところに業績は存在しません。
⑵ メンバーの動機付けと育成
目標管理により、メンバーを動機付け、元気づけ、キーパーソンを育成しつつ、組織業績を上げていくことができます。目標管理は達成度の管理というよりも、むしろ業務実行プロセスの管理です。ノルマを課し、尻をたたくものでありません。
実行プロセスをきっちり管理することにより、業務のレベルを上げることが狙いです。
(『新装版「工場管理」基本と実践シリーズ 現場リーダースキルアップノート』より一部抜粋)
<書籍紹介>
多様化時代に問われるリーダーの必須心得と改善技法を棚卸しして伝える。永続的なカイゼンを可能にする現場の仕掛け方やモチベーションの授け方を披露する。現場リーダーの日常課題をQ&A形式でわかりやすく手ほどきする。2008年の新刊で3度重版した書籍を新装化。
書名: 新装版「工場管理」基本と実践シリーズ 現場リーダースキルアップノート
著者名:改善リーダースキルアップ研究会 編
判型:B5判
総頁数:152頁
税込み価格:2,530円
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