東京・高輪で導入へ、JR東日本が描く「自動走行モビリティ」の楽しみ方
JR東日本が東京・竹芝で人を乗せて自動走行する小型モビリティーの実証を行った。街の中で歩行者と共存可能なモビリティーのあり方を模索しており、単なる移動手段の枠を超えて、導入地域での魅力向上を狙っている。課題や効果などを検証し、2025年3月のまちびらきを予定するJR高輪ゲートウェイ駅周辺の大型再開発事業「高輪ゲートウェイシティ」で導入を目指していく。
実証は3月中旬の2日間、水辺と浜離宮恩賜庭園を臨む複合施設「ウォーターズ竹芝」で開かれた。関西電力発のスタートアップであるゲキダンイイノ(大阪市北区、嶋田悠介座長)が開発した最高速度5キロメートルの電動のモビリティーを用いた。
最大で3人が乗車でき、あらかじめ設定したルートを自動で走行する。途中の乗り降りは自由だ。高性能センサー「LiDAR(ライダー)」を搭載し、人などを検知すれば安全に停止する。木目調をしており、「動く家具みたいな形のデザインにした」(嶋田座長)。
レストランや商店の多い棟と、エンターテインメント施設の多い棟を結ぶ約300メートルを移動した。2日間で約130人が試乗したという。今後、回遊性の向上や消費行動の喚起につながったのかなどを検証する。
JR東マーケティング本部の天内義也マネージャーは、「速さではなく、乗りながら街を楽しみつつ、止まったところで新しい体験をするような、モビリティーと人が共存する新しい空間を作りたい」と展望を語る。
今回の実証を生かし、その先には高輪ゲートウェイシティでの導入も見据える。品川―田町駅間の車両基地の跡地を再開発するエリアのため、南北に細長い。オフィスや商業、マンション、国際会議場などが入る五つの棟を結ぶ歩行者デッキは1・1キロメートルもの長さがある。
この特徴を生かし、単なる移動手段としてモビリティーを導入するのではなく、エリア内で回遊して消費を促すような仕掛けを随所に施し、街の魅力向上につなげる考えだ。