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住まいのサポート専門企業、安全第一で得ている成果

製品安全トップランナー・第16回PSアワード #04 茨城日化サービス
住まいのサポート専門企業、安全第一で得ている成果

住まいの困りごとを迅速に解決することを企業の存在意義として掲げる

「顧客管理システム」を構築

大手メーカーの住宅機器サービスセンターとして創業し、茨城県全域をカバーする住まいのサポート専門企業として50年を経た。手がけるのは住宅機器の修理・点検、浄化槽の保守点検から水回りのトラブル。さらに住宅機器の販売までを行う。「住まいの困りごとを迅速に解決するのが我々の存在意義。そのために必要な対策を講じている」と茨城日化サービスの里見博孝会長は事業の基本方針を説明する。

「製品の販売につなげるような保守点検は絶対にさせない」と里見会長

製品は劣化し故障が起きる。この対策は定期的な保守点検が最も有効な手段であり、不具合を早期に発見し修復することが消費者の生活支援につながる。そのために重視するのは顧客との接点だ。

同社は安全に給湯器などの製品を使用してもらうため「顧客管理システム」を構築。顧客ごとに製品、メーカー、機種、製造年度などの製品情報と販売・修理対応などの業務履歴をデータ化した。不具合発生時の迅速な対応に活用する。2009年4月に経済産業省が「長期使用製品安全点検制度」を創設したことが具体的な取り組みのきっかけになったという。

主な内容として①修理受付365日24時間②機器販売後は1年後、製品寿命(10年)2年前の無料点検③顧客浄化槽の保守点検時に他の機器を目視、不具合の聞き取り実施―などを通し、製品の安全安心な使用と災害防止につなげている。

また、顧客が使用する機器や履歴をデータベースで確認することで不具合への即時対応が可能。さらに顧客の高齢化に伴い、訪問時には必ず災害につながりやすい製品の安全点検までを実施する。「製品の販売につなげるような保守点検は絶対にさせない」と里見会長は強調する。理由として、安全に使用してもらうための点検と修理に徹するのがサービス会社であり「『ありがとう』の言葉を聞くことが私たちの喜び。これが明日への活力になる」と語る。

現場では製品のエラー表示に基づいて修理対応するが、必ずしも表示部の部品交換で修理が終わるとは限らない。「他の部品劣化も要因になることが多いからだ」と里見会長は理由を説く。現場での修理対応は、社内で共有化するとともにメーカーの修理マニュアルと現場での乖離(かいり)も討議する。「乖離が安全に関わる場合はメーカーに改善提案を行う」(里見会長)とし、これまで製品の改善に役立った事例もある。

社内では、毎月の全体会議、社内報での技術情報提供などを通し、製品安全文化を醸成している。顧客の安全を第一に事業展開することは、何よりも信頼の獲得にもつながり、その結果が業績にも大きく反映している。地域の高齢化も踏まえ、製品安全に対する取り組みは重要度を増している。

【会社概要】
 ▽設立=1972年9月
 ▽代表者=会長・里見博孝氏
 ▽所在地=水戸市吉沢町301の4
 ▽従業員=112人
 ▽事業内容=住宅機器・浄化槽の保守点検、修理、販売など
 ▽URL=https://ibarakink.co.jp/

製品安全対策優良企業表彰(PSアワード)
製品安全に積極的に取り組む製造事業者、輸入事業者、小売販売事業者、各種団体を企業単位で広く公募し、厳正な審査の上で「製品安全対策優良企業」として表彰する。各企業が扱う製品自体の安全性の評価ではなく、製品安全活動に関する取り組みを評価する。受賞企業・団体は「製品安全対策優良企業ロゴマーク」を使用し、製品安全対策の優良企業・団体であることを宣伝・広報できる。

日刊工業新聞 2023年02月09日

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