デンソー・アイシン…トヨタグループ7社の業績悪化鮮明、新たな懸念材料も
トヨタ自動車グループの主要部品メーカー7社で、長引く自動車減産による業績悪化が鮮明になってきた。2023年3月期連結業績予想では5社が営業利益を、内3社は営業以下の各利益段階と売上高も下方修正した。期初から続く半導体不足やコロナ禍、資材やエネルギー費用の高騰に加え、中国の市場鈍化も新たな懸念材料だ。トヨタは23年に高水準の生産見通しを掲げるが、各社は下振れを視野に変動対応力の強化を図る。
売上高と各利益段階を下方修正したのは、デンソー、アイシン、愛知製鋼。デンソーは車両生産が顧客の期初計画より12%下振れると見込んでいたが、14%に見直した。松井靖経営役員は「為替の円高傾向による影響のほか、収益力の高い中国や日本での販売減少による利益構成悪化も要因」と説明する。
アイシンは自動変速機(AT)を中心に日本や欧州、中国向け販売が減少。伊藤慎太郎副社長は「3月までは顧客の生産を相当厳しく見ている」と話す。愛知製鋼はトヨタの生産減で特殊鋼と鍛造品の販売が落ち込むほか、世界的な在庫調整による需給緩和も響く。
豊田合成は各利益段階を下方修正した。「中国や日本の減産を織り込んだほか、米国も下振れする予想」(安田洋取締役)。営業利益を見直したのは豊田自動織機だ。フォークリフト販売は増えるが、自動車減産のほか資材・エネ費や物流費、人件費の高騰、部品不足が続くと見る。ジェイテクト、トヨタ紡織は予想を据え置いた。
23年はトヨタが最大1060万台の生産見通しを掲げるが、下振れリスクは依然横たわる。各社は仕入れ先の人員も含めて増産体制を整える一方、「工場や事業部の間で柔軟に生産応援ができるようにする」(ジェイテクトの神谷和幸経営管理本部副本部長)など、変動リスクへの対応力を高める考えだ。
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日刊工業新聞 2023年02月06日