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JR東日本とKDDIが模索する人とロボットが共生する新たな街作り

「高輪ゲートウェイシティ」導入目指す
JR東日本とKDDIが模索する人とロボットが共生する新たな街作り

エレベーターを昇ってきた配送ロボットがお弁当を運搬

2025年3月の街開きを目指し、JR東日本が高輪ゲートウェイ駅(東京都港区)周辺で開発を進める「高輪ゲートウェイシティ(仮)」。そこでの導入を目指し、都市や街の設備が持つデータを収集・分析するデータ連動基盤(都市OS)とロボットを制御するプラットフォーム(基盤)を連動させる実証をJR東とKDDIが11日から始めた。ロボット単独では難しい高度なサービスの提供を目指しており、人とロボットの共生する新たな姿を模索する。(編集委員・小川淳)

「人手不足でなかなか人員が集まらない中、人とロボットが共存することでうまく課題解決につなげたい」。

JR東マーケティング本部の松尾俊彦マネージャーは、ロボット導入を進める狙いをこう説明する。

実証は東京・西五反田のJRのオフィスビルで行われている。ZMP(東京都文京区)の配送ロボットを用い、オフィスワーカーの注文に応じてお弁当を各フロアに配送する。また、人の集まる方に移動してお菓子や軽食の回遊販売も実施する。同時にセントラル警備保障の警備ロボットと連携した協調制御も実践している。

都市OSによってビル内に設置した防犯カメラから映像を人工知能(AI)で解析し、連動するロボットプラットフォームに人の密集度などを伝え、配送ロボットに最適な移動ルートを進んでもらう。ロボット単体では混雑状況を判断してルートの変更などはできなかった。さらにエレベーターと連携することで、ロボットだけで違うフロアに移動することも可能だ。

配送ロボット(右)と警備ロボット。複数台のロボットの連携も実証

また、人手による配送ではセキュリティーの問題で入るのに手間取るなど、最後のラストワンマイル配送の効率化が課題だったが、ロボットならこうした懸念はない。

一方、複数台のロボットの協調では優先度に応じた“交通整理”をすることで、衝突や遅延を回避し、監視者の業務負担の軽減を狙う。KDDIDX推進本部の保科康弘グループリーダーは、「他のメーカーのロボットであっても共有しておくことにより、『配送を優先しなさい。警備は待ちなさい』という制御を行い、スムーズな動きができる」と説明する。

期間は27日まで。実証を通じて課題を抽出し、高輪ゲートウェイシティへの実装を目指す。現状では防犯カメラの映像をロボットサービスに利用することへのオフィスワーカーの理解のほか、既存ビルに設置されているカメラでどこまで精緻に人を分析できるかなどが課題だという。

JR東は高輪ゲートウェイシティを「次々と新しいサービスを生み出す壮大な実験場」(松尾マネージャー)に位置付け、ロボットサービスだけでなく地域モビリティーや飛行ロボット(ドローン)配送なども実践する予定だ。都市OSとロボットなど各種サービスのプラットフォームを連動させ、AI画像解析による清掃や警備の効率化、住人などの属性に応じたサービスの提供など新しい街づくりを目指す。

日刊工業新聞 2023年01月17日

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