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ドコモがクレカ「dカード」基盤を刷新、通信苦戦で金融拡大へ一手

ドコモがクレカ「dカード」基盤を刷新、通信苦戦で金融拡大へ一手

カード決済データを活用した販促活動などを行う

NTTドコモはクレジットカード「dカード」の発行基盤の一部を刷新した。スマートフォン決済「d払い」などドコモのほかのサービスのシステムと連携し、決済データを統合的に管理・分析できるようにした。同社のさまざまな金融サービスへの送客を促し、決済データ分析の結果を基にしたdカード加盟店の販促支援も視野に入れる。携帯通信各社は通信料値下げの潮流を踏まえて非通信事業に力を注いでおり、ドコモは金融分野の拡大を急ぐ。

ドコモはdカードの発行基盤を自社ならびに三井住友カードの双方のシステムを組み合わせて構築していた。今般、ドコモ側のシステムを刷新。「d払い」やポイントプログラム「dポイント」のシステムと円滑に連携できるようにした。

今後は分析データを基に、dカードの顧客に対して、最適なタイミング・方法で投資や融資、保険といった金融分野の商材を中心にドコモの他サービスを提案する。多くのサービスを利用する人ほどポイント還元などの恩恵を受けやすくなる仕組みにしており、dカードの利用促進も期待できるとみている。

将来は決済データを活用したマーケティング事業も視野に入れる。現在、d払いでは、顧客の属性や購買行動に応じて販促情報の配信やクーポンの発行を行えるサービスを、加盟店など向けに展開している。これまでdカードではそうしたサービスを行っていなかったが、今後検討する。

携帯通信各社は政府の政策による通信料金引き下げで個人向け通信事業が苦戦し、収益源の多様化を急ぐ。ドコモは2026年3月期に売上高の過半を非通信分野および法人事業で稼ぐ計画。非通信のけん引役として金融を位置付けており、22年4―9月期の金融・決済取扱高は前年同期比26・7%増の5兆1800億円だった。

KDDIも金融やエネルギーなどを注力領域に設定。金融事業の売上高と営業利益は23年3月期―25年3月期に年率2ケタ成長を目指す。

ドコモは決済分野で三井住友フィナンシャルグループや三井住友カードなどと2005年に提携しており、18年には新たな協業の枠組みの構築に合意。この枠組みの中で、dカード運営体制の見直しを進めてきた。

日刊工業新聞 2023年01月16日

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