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変革期の銀行業界、京都銀行が人事制度17年ぶり改定で目指すモノ

京都銀行は得意分野や専門性を高めて成長・活躍できるよう支援し、仕事と役割に応じたメリハリある処遇で全員の満足度とエンゲージメントを向上すべく、人事制度を2021年10月に改定した。銀行業務の多様化・高度化で、多様な人材が高い専門性で業務に取り組むことが求められている。変革期にある銀行業界で事業ポートフォリオに人材ポートフォリオを合わせ、行員と銀行が共に成長し続ける組織を目指す。

改定は17年ぶり。長らく続く低金利環境で預貸業務が厳しい反面、社会課題解決、M&A(合併・買収)や事業承継、ベンチャー支援、投資金融、デジタル分野、マーケティングプロモーションと、非金融分野のニーズ対応、業務拡大が背景。

新人事制度では各ポジションの職務内容や求める役割、スキルなど明示し、仕事と役割重視の給与体系を構築した。さらなる活躍を目的に若手行員の処遇水準はアップ。人事考課は評価区分を細分化し、360度フィードバック制度なども導入。専門家としてのキャリアアップ希望で、専門領域を切り開いてもらうため、秀でた者を選抜して登用するプロフェッショナル(専門職)の創設も特徴だ。

専門性向上や柔軟な働き方、メリハリある処遇などが必要と考える現場の意見が改定に一役買った。羽渕完司執行役員人事総務部長は「必要となる知識もさまざま。こういう人材が必要と決め打ちせず、個性を一層伸ばし、環境変化や事業戦略に沿って人材を育てることが重要」と指摘する。

データドリブンによる高確度の顧客対応、人材派遣など、さまざまな分野に興味を持つよう促し身につけたいと意思表示してもらい専門性を高め、適材適所で抜てきしていく。新業務や新ポジションなどは公募で、組織の活性化、意欲やモチベーション向上を狙う。

同行は地域活性化への貢献、事業領域拡大などを目的に持ち株会社体制移行を検討中。生き生きと多様な分野で活躍できる組織づくりがより重要となる。

日刊工業新聞 2022年12月06日

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