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ヤマハ発動機が地銀紹介の企業に出向する人事制度を立ち上げた狙い

ヤマハ発動機は静岡銀行と人材マッチングで連携協定を結び、静岡銀の紹介する企業へ出向、転籍するキャリアクリエイト制度を8月に導入した。ヤマハ発の従業員が培った専門的スキルや経験を生かした多様な働き方、セカンドキャリアを支援するとともに、即戦力を求める全国の企業の後継者問題や人材不足、技術移転などの課題解決を図り、社会貢献、地域貢献につなげるのが狙い。当面30人程度の規模を目指す。

ヤマハ発は働き方改革やダイバーシティーを推進する中、働き方を選択できる環境整備を図っている。同社に在籍する人材の約9割は本社や主力工場のある静岡県以外の出身のため、希望勤務地が全国に及ぶ可能性がある。一方で静岡銀は北海道銀行や京都銀行、福岡銀行など全国9行の地方銀行で「地域再生・活性化ネットワーク」を構築し、地域の枠を超えた協力によるサービス提供を目指している。このネットワークを活用して全国の企業をヤマハ発に紹介する。

同制度を活用できるのはマネジメント経験があって一定の実績を積んだ社員。自己実現欲求、生活様式多様化、Uターン、要介護などの事情で社外で活躍したい社員の進路を支援する。出向は55歳以上60歳未満の管理職が対象で、60歳以上で転籍する。転籍の対象は60歳以上の再雇用管理職。いずれも65歳まで勤務し、ヤマハ発勤務と同等の収入を担保する。河合多真美人事戦略部長は「人を囲いこむのではなく、好循環を生むことがいい出会いにつながる」と、人材の流れを作る狙いを説明する。

多様な働き方を推進しているヤマハ発では、他にも在宅勤務にかかる通信費や光熱費を負担する在宅勤務制度、時間単位で休暇を取得できるライフサポート休暇制度、病気などの治療と仕事の両立を支援する短時間勤務制度を1月に導入している。河合人事戦略部長は「感動創造企業の実現に向け、チャレンジ精神を体現する」と強調する。

日刊工業新聞2021年11月16日

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