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CASE領域の売上高7兆円へ、デンソー社長が挙げた「10年で10兆円投資」の注力分野

デンソーCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)領域に注力し2035年度に同分野の売上高を現状比約2倍の7兆円にするなど、事業の選択と集中を進めると発表した。内燃機関向けの駆動装置(パワートレーン)製品などは電動化の影響で縮小する見込みで、35年度の売上高は現状比半減の1兆円程度を予想する。

15日に開いたオンラインの経営戦略説明会で明らかにした。CASE領域のうち、車の電動化に欠かせないインバーターでは30年度の生産台数が21年度比約6倍の1900万台を見込むほか、熱マネジメント製品は同約21倍の540万台、電源システムは同約3倍の1270万台など電動化製品生産を拡大する。

「10年で10兆円」将来投資

また、今後10年間で10兆円規模の将来投資を行う。年間では1兆円程度になり、内訳は設備投資が3000億―3500億円、研究開発は5000億―6000億円を予定する。有馬浩二社長は「設備投資に加えソフトウエアやデータ分析の開発投資を増やす」と注力分野を挙げた。残りの1000億円程度はスタートアップへの出資やM&A(合併・買収)に投じる。

同社は35年に向け、人・モノ・エネルギー・資源・データの流れに対応する技術開発を加速する。例えば「人流」では死亡事故を防ぐため、周囲の危険を認識する高性能センサーやインフラ協調システムなどを開発する。「資源流」では自動車解体業者と連携し精密なリサイクルや高純度材の摘出技術などを磨き、車をリサイクルし、新たな車を生み出すことなどを目指す。有馬社長は35年に向け「モビリティーを軸に人々の笑顔があふれる幸福循環型社会をつくっていく」と強調した。


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日刊工業新聞 2022年12月16日

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