「普段は表にでないモノづくりの技術」が身近になる製品が揃うポップアップストア開催
焚き火台やストーブなどのアウトドア製品、おちょこやグラスなどのテーブルウエア、調理器具…それらに共通するのは「普段は表にでないモノづくりの技術」によって生まれたという点だ。
日本のモノづくり企業の技術と知恵、センスとギミックが詰め込まれた、「GOOD」な工場発の製品を紹介・販売するポップアップストア「FACTORY’S GOODs(ファクトリーズグッズ)」。10月19日〜21日に東京ビッグサイト(東京都江東区)にて開催され、14社が出展し57製を販売。業界・業種問わず多くの方が来場し、製品購入だけでなく、技術に関する相談や商談など幅広いコミュニケーションが生まれた。
初出展は、旭鉄工(愛知県碧南市)、錦城護謨(大阪府八尾市)、極東窒化研究所(神奈川県秦野市)、栗田産業(静岡県静岡市)、セイコー(愛知県小牧市)、タキオン(愛知県安城市)、小沢製作所(東京都八王子市)、タシロ(神奈川県平塚市)、佐野機工(栃木県真岡市)の9社。
栗田産業は今年入社した社員をはじめとした若手がブースに立ち、来場者に製品や技術を説明した。同社の栗田圭副社長は「来場者と直接会話ができる機会なので、人材育成の『修業の場』として役立てている」と話した。同社はスズ鋳造製品を中心に出展。「ミニ四駆箸置き」に注目した来場者からは熱心な質問が寄せられた。
小沢製作所は新製品の「小焚台」を先行販売。部品の形状にスリットが入った板金の状態から、手で切り出して折り曲げ、組み上げる「子どもと手作りができる焚き火台」だ。「アウトドア好きの来場者の目に留まれば嬉しい」(小沢達史社長)と話していた通り、製品のユニークさに惹かれて多くの人が手に取っていた。
ビジネス展示会という「物販」を目的としない来場者が多数を占めるなか、3日間の会期を経て多くの製品購入があった。
前回に引き続き出展した早野研工の早野民智夫専務取締役は、「前回よりも(販売実績が)良かった」と笑顔を見せた。極東窒化研究所の武田康秀社長は「多くの製品が完売した。購入者がSNSでコメントをしてくれたり、嬉しい出会いがたくさんあった」と振り返った。
また、製品購入だけでない成果も見られた。銅製品を扱う佐野機工では、加工技術に関する問い合わせもあり、「当社の技術を求めて話をいただいたとある企業が、逆に当社になかった技術を持っていることがわかり、双方にとって今後につながる良い出会いになった」(佐野仗侊社長)と手ごたえを感じていた。
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