「街中で突然モノづくりに出会う」イベント、中小企業と女子大生を繋ぐ
「街中で突然モノづくりに出会う体験」を目指して作ってきた「FACTORY’S GOODs(ファクトリーズグッズ)」。2回目となる今回は出展リピート率100%、出展者も5社から14社に増えました。中小製造業14社・約40製品が集まる! 「モノづくりの面白さ」「技術の奥深さ」を伝えるポップアップストア
開催を迎えるにあたり、前回の開催での出展者や来場者の反応や、当社メンバーの中で得た気付きを振り返りました。
―まずは前回開催を振り返っていきたいと思います。出展者の反応はいかがでしたか。
蓮見 会場に入ってきた瞬間にびっくりしてくれる出展者さんも多く、展示空間に喜んでくれたのが良かった。渋谷での展示会場の選定や、コンセプト設定を重視し、企画の頭から一貫してデザインを作り込んでいった成果かなと。また、自分がテンション上がる展示会をしたいというモチベーションで企画を進めてきた部分もあったので、それを達成できたなという思いもありましたね。
鎌池 中小企業は自分たちでPRする材料を作ることが難しい場合も多いんですよね。だからこそ、思った以上に展示パネルなどに対するリアクションがよかったなと感じました。
濱中 出展企業5社の良さをなるべくストレートに伝えたいなと思っていて。(展示物などを作成する際)各社の情報や素材のどこを使って、どこをそぎ落とすかをしっかり見極めたので、そこを評価してもらえたのがよかった。普段のBtoBの展示会と違った展示や伝え方ができたのではと思います。
蓮見 BtoBの展示会でも、見せ方の工夫で来場者が増えたり、特に若者が注目してきてくれるというのは意外だった。
濱中 渋谷会場でステッカーを持ち帰る人がけっこういたのが面白かったなと。(企業そのものを)知らなくても、かっこいい企業は注目されるのかも、と思いました。
―来場者も普段のビジネス展とは違い、若者や一般の方など幅広い方々に来てもらっていたかと思います。
蓮見 渋谷会場でふらっと立ち寄ってくれる人は大学生くらいの年齢層もけっこう多かった印象。とはいえ、アラサーからおじさま層の来場も多く、結果的に幅広い年齢層の人に来場いただけていたかな。
鎌池 年齢層が上の人が特に説明文をじっくり読んでいたのが印象的だった。若い人だけをターゲットにするのではなく、若い人「まで」対象を広げた、という作り方がよいのだと学びました。素敵なものは年齢関係なく刺さる、というか。
―スポンサー企業の皆さんも出展したり記事を掲出したりと、積極的に関わっていただけました。
蓮見 スポンサーさんも来場してくれていたけれど、「製造業に対するイメージアップを日刊工業新聞社がやってくれるのが嬉しい」と言ってもらえた。
鎌池 渋谷会場では碌々産業さんの展示したアクリルの加工のモデルも熱心に見られていたよね。
昆 碌々産業さんもしっかりとコミュニケーションを取って説明をしてくれていたから、それも良かったのかも。
濱中 関連記事として掲出したスポンサーの記事もけっこう読まれていましたね。
―イベント出展後の反応はどうでしたか。
蓮見 イベントで出会った女子大生の方が出展企業の工場見学に行ったと聞きました。また、デザイナー、BtoBの問い合わせ、自社ウェブサイトへのアクセスが増えたといった声をいただきました。
鎌池 出展企業同士で工場見学に行ったというエピソードも聞きました。つながりができるというのも良かったと思っていて、今回新規出展企業の中には、前回出展企業からイベントの話を聞いて興味を持っていただいてたという話も。中小企業はみんな海に浮かぶ小舟みたいな状況なので、同じような会社とつながれるというのは良いことなのかなと思います。
蓮見 「出展者の皆さんと知り合えたのがよかった」と言ってもらえたのも良かった。そして一番の反響はリピート率100%かなと。出展者さんからもこのチームを好きという声があるので嬉しいですね。
―自分たちとして、実施してよかったことについて教えてください。
蓮見 私、ありすぎて話せないかも…
鎌池 私は普段技術雑誌向けに書いていて、技術用語を使えば一言で済んでしまうことであっても、技術の知識がない人向けに書こうとするとかみ砕いて説明する必要があった。けどそのプロセスの中で逆にいままで見えていなかった会社のよいところが見えるようになってきて、自分の成長につながったな、と思いました。ただ板金メーカーが多くて違いを出すのは大変だったな…
蓮見 100%自分にハラオチしていて、関係者全員に刺さる企画ができた。それを実際開催してみて、社内社外問わず「またやりたい」と言ってもらえたのが良かったなと思う。
ただ、まだまだお客さんにもスポンサーにも還元できていることが少ないと思っているので、もっとみんながハッピーになって、「確実に元とったな」と思ってもらえる企画にしていきたい。
濱中 小さくはじめられたことが意外とよかったなと思って。出展者さんの製品たちって、映え意識とかごりごりに作り込んだパッケージとかで変に飾らなくても素でかっこいいから、その良さを生かして、やりたいことを伝えやすい規模で、自分たちのハンドリングの中で作れた。自我のある企画にできたなと。
単体でもかっこよく、まとまっていても目を引くし、それぞれの個性が光っている、というのを生かして作ることができたのは、小さくはじめられたからというのも大きいかなと思います。
昆 前回の座談会でも話したのですが、ずっと構想していたモノづくりの面白さを分かりやすく、幅広い人に伝えられる企画が実現できたのが良かった。それをリアルとオンライン両方を使って開催できたのも大きかったなと思います。モノを売り買いすることももちろん価値だけれど、展示を使ってモノづくりの背景を説明できたり、出展者と来場者とのコミュニケーションが生まれたりしたことも嬉しかったです。
―今回、9社の新規出展企業が集まっていますが、企画に対する反応はいかがですか。
蓮見 企画に参加しませんか、と説明した時に単純に「声を掛けてくれて嬉しい」と言ってくれた企業が多かったのが嬉しかった。あと、「ガチで製品を売りたいんです」という本気の企業さんも増えた。前回のものを評価して出てくれているのはありがたいし、ハードルが上がった部分もある。
鎌池 前回はなんか面白そうだから(仲間に)入ってみたい、という感じで参加してくれた企業さんが多かった。今回「日刊工業新聞社がやっているなら参加しよう」という信頼感は前よりも感じるかな。
昆 今回、大阪や名古屋などの支社にいる当社の営業担当者が協力してくれて、普段からお世話になっている企業さんが出展してくれたので、日々の繋がりを広げられたのはよかった。新聞や雑誌広告、取材だけではない繋がりをこれからも広げられたらなと思っています。
―今回は渋谷会場が変更になり、「WITH HARAJUKU」での開催になります。
蓮見 前回のhotel koe tokyoがとても良い会場だったので、正直かなり悩みましたが、「街中で突然モノづくりに出会う体験」を一番体現していると思える場所を選びました。
鎌池 前回はカフェの中で、カフェに来たお客さんがついでに寄ってくれるという感じだったけれど、今回は本当に街中なので、街に溶け込んだイベントになるのでは。カフェも出店するのでコーヒーも飲めます。
濱中 前回の会場は室内空間だったのですが、今回は半屋外のイベントスペース。周りに壁もなく決まった当初はどんな展示スペースになるのかな、と不安がありました。ただ他の展示会をいくつか見に行った時に、その会場にあった展示を作るのと、何もない空間に作り込む2パターンがあるなと思い、今回は後者になるという違いなのかな、と。
昆 何度か下見に行って、原宿も少しずつ人通りが増えてきているかなという印象。お出かけやお買い物のついでに立ち寄ってもらうだけでなく、外国からの観光客の方々にも見てもらえたら嬉しいなと思います。
FACTORY’S GOODs 詳細情報
10月開催 BtoB展示&ポップアップストア @東京ビッグサイト
会期:2022年10月19日(水)〜21日(金)10:00~17:00
会場:東京ビッグサイト西4ホール F-01(東京都江東区有明3-11-1)
入場登録:要 (お申し込み https://autumnfair.nikkan.co.jp/)
日刊工業新聞社など主催の7つのビジネス展示会との併催です。申し込みサイトは2022洗浄総合展、Japan Robot Week 2022、VACUUM2022真空展、SAMPE Japan 先端材料技術展2022、スマートファクトリーJapan2022、高精度・難加工技術展2022、表面改質展2022と共通です。
入場料:入場登録者、招待券持参者、中学生以下は無料
11月開催ポップアップストア @WITH HARAJUKU
会期:2022年 11月18日(金)〜19日(土)11:00~18:00
場所:WITH HARAJUKU(東京都渋谷区神宮前1-14-30)
入場登録:不要
入場料:無料
運営:ファクトリーズグッズ運営事務局/ニュースイッチ
団体協賛:一般社団法人日本工作機械工業会
企業協賛:株式会社アマダ、株式会社ソディック、日進工具株式会社、牧野フライス精機株式会社、株式会社牧野フライス製作所、碌々産業株式会社(50音順)
協力:モノづくり日本会議
特集・連載情報
日本のモノづくりの面白さ、技術の奥深さ、その価値を、若者を中心に幅広い人々に伝えたい。モノづくりへの純粋な驚きと興味を広げ、次世代につなげたい―そんな思いを持った日刊工業新聞社の社員から生まれた企画です。
製品のファンを創出するだけでなく、今後の日本のモノづくりに興味を持ってもらうことで「持続可能な日本のモノづくり」を担う次世代の人材発掘も目指します。