手のひらサイズのアウトドアストーブを便利にする、板金技術が活きる一品
近年のブームにより、手軽に楽しめるアウトドア用品の需要が増えている。そんな中注目を集めているのが、板金加工メーカーのセイコーが開発・販売を手掛けるブランド「鍛冶屋の頓珍漢」による「ポケットストーブに収納できるアルコールストーブ」(以下、アルコールストーブ)だ。市販のポケットストーブに乗せて、アルコールを注入すると20分近く燃焼。構造設計などの工夫で風や低温にも強く、着火も簡単。アウトドアを気軽に楽しみたい人の強い味方だ。
中小製造業14社・約40製品が集まる! 「モノづくりの面白さ」「技術の奥深さ」を伝えるポップアップストア 【小さいながらも人気商品】「ポケットストーブ自体は市販品です。横幅10センチ程度の小さな箱で、両端をもって広げるように展開すると自立します。通常は単純に固形燃料を入れてストーブとして使用しますが、アルコールストーブは、その固形燃料の代わりに中に設置して使用します」。
そう説明するのは、セイコーの村下正樹常務。同社は2020年よりオリジナルアウトドアブランド「鍛冶屋の頓珍漢」を展開しており、「アルコールストーブ」はその中でも今人気の新製品だ。一見単純な構造だが、板金加工メーカーならではのこだわりが詰まっている。
アルコールストーブ本体は板厚1mmのステンレス。多少重みがあるが、耐久性を優先した。
この薄さでは通常の溶接ではひずむが、ファイバーレーザロボットでひずみのない高品質を維持している。また、小さいながらも燃焼時間は長い。
「火力が安定するよう内部にストーブ芯を仕込んであります。アルコールを注入する中心部周辺の穴のサイズや大きさも、最適な風通しでできるだけ長く日が燃え続けるよう、計算し配置・加工をしています」と村下常務は自信を見せる。外気温などの環境にも若干左右されるが約33mlの注入量で、最大約23分間燃焼し、固形燃料などよりもはるかに長い上に鉄板を載せステーキなどを焼くこともできる。
また、使用後はポケットストーブの中に収納可能でスマートだ。
現在主な販路は「BASE」と呼ばれるネットショップサービスなど。比較的ニッチな製品ながらその使い勝手の良さで評判を呼んでおり、その他の製品群にも根強いファンが付いている。加工メーカーが自社製品を作る際頭を悩ませるのは「どのような商品が求められているか」を図るマーケティングだが同社はユニークな方法をとっている。
「作ってみた製品をまず1つフリマアプリで販売。24時間以内に売れたら、需要があると判断しています」(村下常務)。
加工メーカーの自社製品はすぐに作れる(試作)できること、そして売れなければやめてもよいということ、と村下常務は話す。加工メーカーだからこその強みを生かせばもっと自由に事業を展開できるのだ。
「自社製品展開を通して学んだのは、自社というブランドを確立し、それを愛してくれるお客様を大切にしていく、ということ。本業である板金加工業も、さらにセイコーのブランドを高めて信念のある仕事をしていきたい」(村下常務)。
商品情報
シリーズ名:鍛冶屋の頓珍漢 商品名:ポケットストーブに収納できるアルコールストーブ用途:ポケットストーブで手軽に使えてそのまま収納できるアルコールストーブ
サイズ(mm):83 x 69 x 14mm (重さ118g)
価格(税込):5,680円
販売サイトURL:https://www.ton-chin-kan.jp/items/56345946
用途:パッと開いてすぐに使えるチタン製ソロ焚き火台
サイズ(mm)
使用時サイズ: 128x 122x161
収納時サイズ: 128x163x23
重さ: 474g (本体のみ)
535g (中間プレート、五徳込み)
価格(税込):5,680円
販売サイトURL:https://www.ton-chin-kan.jp/items/66657278 シリーズ名:鍛冶屋の頓珍漢
商品名:ミガキ鉄板S180
用途:ラージメスティンに収納できる本格ミガキ鉄板
サイズ(mm):180x120x10.5
価格(税込):8,680円
販売サイトURL:https://www.ton-chin-kan.jp/items/39692672
用途:バーナーを使用する際に発生する反射熱を防ぐのはもちろん、メスティンやマグカップなどのクッカーを置いたり様々な使い方ができる。また、付属の風防を差し込むことにより風の強い場所での使用も安心
サイズ(mm)
組み立て時: 355x188x高さ115
折り畳み時: 310x180x15
耐荷重: 10kg
価格(税込):14,000円
販売サイトURL:https://www.ton-chin-kan.jp/items/43359300
企業紹介
(株)セイコー Seiko Co.Ltd.所在:〒485-0076 愛知県小牧市三ツ渕原新田433
従業員数:13名
主な製造品:車輌、航空機、建築、遊戯用金属製品の加工及び施工(ステンレス、スチール、アルミ、銅、真鍮、 チタン)
金属の板を切り、曲げて、溶接(組付け)をして一つの「形」を作る板金加工。一種の金属の折り紙とも言えなくもない工法だが、それには当然専用機械が必要。より完成度の加工ができるように、と最新機械が出るたび導入するメーカーも多い。しかし、同社は「最新機械でできる仕事を追いかけない」を最大のモットーとしている。優秀な機械と優秀な技術者の組み合わせが、機械をそろえただけではまねできない加工を可能とするのだ。世界に1つしかない特注品、などは特に力の見せ所で同社の手掛ける「1品もの」は業界でも評価が高い。
FACTORY’S GOODs 詳細情報
10月開催 BtoB展示&ポップアップストア @東京ビッグサイト
会期:2022年10月19日(水)〜21日(金)10:00~17:00
会場:東京ビッグサイト西4ホール F-01(東京都江東区有明3-11-1)
入場登録:要 (お申し込み https://autumnfair.nikkan.co.jp/)
日刊工業新聞社など主催の7つのビジネス展示会との併催です。申し込みサイトは2022洗浄総合展、Japan Robot Week 2022、VACUUM2022真空展、SAMPE Japan 先端材料技術展2022、スマートファクトリーJapan2022、高精度・難加工技術展2022、表面改質展2022と共通です。
入場料:入場登録者、招待券持参者、中学生以下は無料
11月開催ポップアップストア @WITH HARAJUKU
会期:2022年 11月18日(金)〜19日(土)11:00~18:00
場所:WITH HARAJUKU(東京都渋谷区神宮前1-14-30)
入場登録:不要
入場料:無料
特設Webサイト:https://biz.nikkan.co.jp/brand/factorysgoods/
展示会スポンサー
日進工具株式会社
株式会社ソディック
牧野フライス精機株式会社
碌々産業株式会社
株式会社牧野フライス製作所
一般社団法人日本工作機械工業会
株式会社アマダ
モノづくり日本会議
特集・連載情報
日本のモノづくりの面白さ、技術の奥深さ、その価値を、若者を中心に幅広い人々に伝えたい。モノづくりへの純粋な驚きと興味を広げ、次世代につなげたい―そんな思いを持った日刊工業新聞社の社員から生まれた企画です。
製品のファンを創出するだけでなく、今後の日本のモノづくりに興味を持ってもらうことで「持続可能な日本のモノづくり」を担う次世代の人材発掘も目指します。